[2021_04_10_06]福島第一原発から汚染水を流すな−暴挙だ 放射性廃棄物海洋投棄は国際法でも禁止 「福島復興」の名の下に環境汚染 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年4月10日) |
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暴挙。表現するならば、これに尽きる。 東京電力福島第一原発事故から10年を経て、国は汚染水を海洋放出することを政府決定しようとしている。 地元、福島県の漁民を始め、全国漁業協同組合連合会(全漁連)も反対し続けてきた海洋投棄。これを4月13日の閣議決定により政府決定とすることが報じられている。 汚染水増加を止められない東京電力− 減らすための取り組みに失敗し続けた 福島第一原発は、事故から10年を経ても安全確保さえ出来ていない。2月13日の地震で原子炉格納容器で損傷が進み、たまり水の水位が低下したため冷却水の量を増やしている。 汚染水の元はデブリに接触する地下水や雨水、注入水だから、減らすための取り組みに失敗し続けたことが、今日の汚染水問題の背景にある。 過去に放射性物質の投棄を阻止した日本− 旧ソ連の原潜解体による放射性廃棄物の海洋投棄に反対した 海洋投棄は国際法で禁止されている。国や東京電力は、船に積んで海洋投棄するわけではなく、陸上施設からの排出なので条約上問題はないとしている。 しかし、旧ソ連の放射性物質の日本海海洋投棄が1993年4月に報道され、これに対して日本は、ロシアの原子力潜水艦解体で発生する放射性廃棄物の海洋投棄を防止するため液体放射性廃棄物処理施設(スズラン)が建設された。 ロシアの破棄物と福島第一原発のそれとは異なるが、放射性廃液の海洋投棄という、似たシチュエーションにおいて日本は明らかに異なる対応をしている。これについては明確に説明をしたことはない。 汚染水問題には解決策はある−海に捨てる以外に方法はいくらでもある 東京電力に対しても、海洋投棄をさせない取り組みが必要だ 大量に林立するタンク。見かけは「どうしようもない」との印象かも知れない。マスコミもそういう立場で報道しがちだ。 しかし方法はいくらでもある。 東京近郊には環七通りや神田川周辺などに大量の雨水貯水池か施設が存在し、そこには数千トンの雨水を溜める能力がある。 これらのおかげで都内の冠水被害は大幅に減っている。 このような地下貯水システムを福島第一原発の敷地内に建設すれば良い。トリチウム汚染水とはいえ、事実上はただの水。地盤への漏えい防止のためには二重構造にすれば良いだけだ。 地下タンク方式でも、2年もあれば何基も出来る。排出設備建設期間で貯蔵施設が十分作れる。 海に捨てる以外に方法はいくらでもある。現実に海に流そうとしても設備建設に2年、それから開始して40年もかかる。 その間もタンクは相当期間林立している。結局、危険度も景観も、場所を塞ぐことも何にも変化はない。 国が決定をしても、主体は東京電力である。東電が貯蔵を決断すれば可能だ。 東京電力に対しても、海洋投棄をさせない取り組みが必要だ。 ★4/13(火)放射能汚染水を海へ流すな! 「首相官邸」前緊急抗議行動に行こう! 日 時:4月13日(火)12:00より13:00 場 所:首相官邸前 内 容:鎌田 慧さん、参加者からのアピール、 福島県民大集会からのメッセージなど 主 催:さようなら原発1000万人アクション実行委員会 連絡先:原水爆禁止日本国民会議/フォーラム平和・人権・環境 TEL:03-5289-8222 ※たんぽぽ舎も、ノボリ旗を持って、参加します。 ☆紹介…放射能汚染水海洋放出問題に役立つパンフ 『放射能で汚染された水で海を汚染するな!』 −国と東電の責任は重い− 遠藤順子(健生病院非常勤医師)山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表) たんぽぽ舎パンフレットNo103 B5判 32頁 頒価400円 お問い合わせ・ご注文は、たんぽぽ舎へ ★参考論文 原子力利用は必然的にトリチウム汚染を引き起こす いま、福島のトリチウム汚染水を海に流していいかどうか という議論をしている− このことは日本の原発の死命を結する程、重要なこと 小出裕章(元京大原子炉実験所助教) (前半略) 原子力を利用するということは、ウランを核分裂させるということで、必ずトリチウムが生まれます。トリチウムは汚染水をどんなにきれいにして不純物(放射性物質)を取り除いても、トリチウム自身は、水素の同位体なので、水素の構成要素そのものになっていて、絶対に取り除くことはできません。それ故、国は海に流すといっているのです。 では福島の事故が起きなかったら、このトリチウムはどうなったのでしょうか。このトリチウムを含む燃料は再処理するというのが日本の原子力政策の基本であり、もともと海に流すという計画で、国も安全であるというお墨付きを与えたものなのです。それを海に流したらいけないと言われたら、日本の原子力は成り立たなくなるということになります。 いま、福島のトリチウム汚染水を海に流していいかどうかという議論をしているのですが、このことは日本の原発の死命を結する程、重要なことなのです。 日本の原子力政策が根本的にひっくり返るという重要なターニングポイントがいま、始まっています。 (後半略) (「NEWS LETTER」2021.3・4 NPO「現代の理論・社会フォーラム」発行「2/14小出裕章講演(松本市中央公民館)」 より抜粋) ★参考記事 処理水海洋放出決定へ 風評対策示さぬまま 福島第一原発 13日にも閣僚会議 (4月10日東京新聞1面見出し) 福島第一原発処理水海洋放出方針 中国政府「十分な協議を」 韓国報道「納得しがたい」 (4月10日東京新聞4面見出し) |
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