[2021_04_26_01]放射性廃棄物の地層処分について(その16)「地産地消型バイオマス・バイナリー発電」 自然エネルギー利用は地産地消型が望ましい 平宮康広(信州大学工学部元講師)(たんぽぽ舎2021年4月26日)
 
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放射性廃棄物の地層処分について(その16)「地産地消型バイオマス・バイナリー発電」 自然エネルギー利用は地産地消型が望ましい 平宮康広(信州大学工学部元講師)

◎ データーセンター内のサーバコンピュータ等は、40度Cまでの温度に耐える。したがって、深層水を35度C前後まで加温できる。35度C前後まで加温した深層水をさらにボイラーで95度C前後まで加温し、別途深層水を送水して温度差発電=バイナリー発電を行うことができる。
 その後バイナリー発電で使用した「高温」深層水と別途送水した「低温」深層水を混ぜ合わせ、水温を20度C前後に調整して養殖・養魚施設に送水すればよい。

◎ 水は沸騰する場面で多大な熱を消費する。だが、バイナリー発電で水を沸騰させる場面はない。
 したがって、深層水を加温するボイラーの燃料は国内の杉木等で十分間に合う。すなわち、外材やパーム油等を使用する必要がない。
 ちなみに、国内の杉木は大部分が人工林である。伐採した後、無花粉杉や低花粉杉を植林すれば、あるいは無花粉檜等を植林すれば、花粉症対策になる。
 欅や楓のような広葉樹を植林すれば、熊や猪が里に下りてきて水田や畑を荒らす場面がなくなる。より重要なことは、日本の林業の再生に役立つ、ということである。
 国内の杉木等による火力と深層水の低温性を活用するバイナリー発電を「バイオマス・バイナリー発電」と呼ぶ。バイオマス・バイナリー発電で「生産」した電力は、データーセンターに配電すればよい。それにより、水冷コンビナートで消費する電力を自給できる。
 私見であるが、全国100カ所以上の地域で、電力を自給する水冷コンビナートの建設が可能である。

◎ 地産地消型バイオマス・バイナリー発電を有する水冷コンビナートは、六次産業のコンビナートである。様々な六次産業のコンビナートを考えることができる。
 だが、たとえば福井県若狭湾沿岸のような原発立地地域が原発依存から脱するには、あるいは「原発後」の地域経済を確立するには、地産地消型バイオマス・バイナリー発電を有する水冷コンビナートの建設が有望な選択になる、と考える。
 自然エネルギー利用を推進するだけでは、原発の稼働を阻止できない。
 自然エネルギーを利用する六次産業の創出が、原発立地地域を救済し、原発の稼働を阻止する。
 そして、放射性廃棄物の地層処分も阻止すると考える。
以上で、本連載を終える。
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