[2021_05_15_01]原発処理水海洋放出は魚に大ダメージの可能性も…誰もが納得できる説明を(東京MX2021年5月15日)
 
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原発処理水海洋放出は魚に大ダメージの可能性も…誰もが納得できる説明を

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、原発処理水の“海洋放出”に関して議論しました。

◆国民の理解が得られる処理方法を!

 東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出するという政府の決定に対し、福島県南相馬市議会は方針の撤回を求める意見書を全会一致で可決。漁業者らが反対するなかで、「地元の声を無視して強行することは、福島の10年間のなりわい再建へ向けた努力を無にするもの」と批判。国民の理解が得られる処理方法を決定することを求めました。
 岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんは、以前からこのニュースに注目していたそうで、「説明が全て人間の基準だと思ってならない」と意見します。処理水が飲めるか飲めないのか、国の基準と比べてトリチウムの量はどうなのかなどは、あくまで人間の視点。「魚を食材として捉えたときに、人間がそれを食べて害がないかどうか。でも本来、魚は生き物であり、魚好きとしては(今回の問題も)魚の基準で考えてほしい」と訴えます。
 しかも、魚は環境の変化に敏感である非常にデリケートな生き物で、水温が1度変わると人間の10度分ぐらいのダメージを受けると言います。そのため、人間の基準で調査し、その結果、処理水を海洋放出するとなると「魚の生きやすい環境に関しては、かなりのダメージになる可能性もある」と危惧します。

◆処理水海洋放出に、国民が納得できない理由は?

 キャスターの堀潤は、鈴木さんの話からアメリカと日本の大きな違いを想起。それは、アメリカでは全ての関係者が集まり、丁寧に議論を重ねて物事を決めていく形に対し、日本は政府が決め、それを説明し、受け入れるか受け入れないかを決めますが、最終的にはうまく合意できずに強行ということが多いということ。
 これには鈴木さんも共感し、国民が納得できない理由の1つとして「誰が、どう調査しているのかがわからないこと」を挙げます。さらには、過去に心理学を研究していた鈴木さん曰く「研究者バイアスがかかる」とも。研究者バイアスとは研究している仮説を証明したいという思いから解釈が歪んでしまう可能性があることで、鈴木さんは「海洋放出したいと思っている人たちだけで研究すると、そういうバイアスがかかってしまう」と危険視。
 また、福島周辺の人たちにとっては大問題なものの、遠く離れた場所の人たちにとっては問題意識が希釈になってしまうため、「地域の差もなくしたほうがいい」と言います。そして、そのためには「全国のいろいろな大学から、いろいろな立場の方々をプロジェクトとしてまとめ、偏りのない研究者チームを作れば、聞いているこちら側ももう少し納得できる」と主張します。
 キャスターの田中陽南も「納得感はとても大切」と言い、安全面を打ち出すことも必要なものの、「地元の人にとって納得できるかどうか、心に寄り添ってもらうことが、今すごく必要」と話していました。
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