[2021_05_19_05]菅政権の企む2つの犯罪 許してはならない! 1.老朽原発再稼働、2.汚染水の垂れ流し許せば、全原発の60年運転、全核施設からの放射性物質汚染水放出の恒常化に道を開く! (上)(2回の連載) 汚染水に含まれる放射性物質はトリチウムだけではない(通常の原発排水とは異なる!) 木原荘林(老朽原発うごかすな!実行委員会)(たんぽぽ舎2021年5月19日)
 
参照元
菅政権の企む2つの犯罪 許してはならない! 1.老朽原発再稼働、2.汚染水の垂れ流し許せば、全原発の60年運転、全核施設からの放射性物質汚染水放出の恒常化に道を開く! (上)(2回の連載) 汚染水に含まれる放射性物質はトリチウムだけではない(通常の原発排水とは異なる!) 木原荘林(老朽原発うごかすな!実行委員会)

「老朽原発再稼働」については別に譲り、ここでは放射性物質汚染水垂れ流しの犯罪性について述べる。
 政府は、4月13日、福島原発で増え続ける放射性物質汚染水の海洋放出を決定しました。2年後を目途に放出を始めるとしています。
 なお、汚染水は3月時点で約125万トンたまり、来年秋には千基以上あるタンクの容量(137万トン)が満杯になるといわれています。
 また、この汚染水放出で生み出された空地を、福島第一原発2号機の溶融核燃料の取り出しや1、2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し作業に必要な施設の用地にする計画もあります。

◎汚染水を「処理水」と言いなおす政府の欺瞞

 この水は、ALPSという吸着装置で処理したからと言っても、全く除去できないトリチウム(三重水素)、ALPSで除去しきれなかった放射性物質(ヨウ素、ストロンチウム、セシウムなど)を含んでいて、処理できていない水=汚染水です!

◎「政府が前面に立って安全性を確保する」という空約束

 政府は、海洋放出の決定にあたって、「政府が前面に立って安全性を確保する」としていますが、同じように安全を確保すると言って運転した福島原発が重大事故を起こし、現在稼働中や稼働準備中の原発ではトラブル続きです。
 原発は現在科学技術で「安全を確保できる」ものではなく、この約束が国民だましの「空約束」であることは明らかです。
 政府の「安全確保」の技術とは「水で薄める」だけです!

◎トリチウムは法令基準の「1/40に希釈」しても
 環境中濃度の1000倍以上

 海水中のトリチウム濃度は、1リッターあたり1ベクレルのレベルです。
 これに対し、原発からの放出水では、1リッターあたり60000ベクレルが規制値とされています。
 これは、原発を運転すれば、この濃度のトリチウムが生成し、それを除去する方法が無いからです。すなわち、60000ベクレルは原発を運転するために設定された濃度で、生態系等への影響は考慮されていないのです。
 政府が「安全を確保する」とした汚染水中のトリチウム濃度は、60000ベクレルの1/40ですから、海水中濃度の1000倍以上です。

◎汚染水に含まれる放射性物質はトリチウムだけではない
 (通常の原発排水とは異なる!)

 今、垂れ流そうとしている汚染水には、トリチウムだけでなく、ALPSで取りきれなかったセシウム、ストロンチウム等の放射性物質が残存しています。これらを希釈して流しても、海の中で、生体濃縮されて、生態系を循環する可能性があります。
 放射性物質の残存について、2018年10月3日の毎日新聞は、「東電は、ALPSによってトリチウム以外の放射性物質の濃度を基準値以下にできると説明してきた。
 ところが、2018年8月時点でタンクに貯蔵していた処理水89万トンのうち75万トンは、トリチウム以外の放射性物質を浄化しきれていなかった。基準の100倍以上の放射性物質を含む処理水だけで、6万5000トンもあった」と報道しています。ALPSでの処理は完全ではないのです。  (下)に続く
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_: