[2021_05_27_05]福島第1原発、タンク23基増設へ 処理水の海洋放出で濃度測定(毎日新聞2021年5月27日)
 
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福島第1原発、タンク23基増設へ 処理水の海洋放出で濃度測定

 政府と東京電力は27日、福島第1原発内でタンクを23基(約3万立方メートル分)増設する計画を明らかにした。約2年後の処理水の海洋放出に向け、放射性物質の濃度が下がったかを測定するのに、新たにタンクが必要になるためだという。
 敷地内のタンクは計1047基あり、137万立方メートルまで保管できる。タンクには現在、トリチウム以外の放射性物質の濃度を下げる多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理をした126万立方メートルの汚染処理水がたまっている。
 ただし、アルプスによる処理を急いだ影響で処理能力を下げて稼働していた時期があり、タンクの水の約7割はトリチウム以外の濃度が国の放出基準を超えている。こうした水はアルプスで再処理して、トリチウムも基準を大幅に下回るよう海水で薄めてから、海に流すことになっている。
 政府・東電によると、汚染処理水をアルプスに通した後、再びタンクにため放射性物質の濃度が基準を下回っているかを測定する。測定には約2カ月かかり、専用のタンク計約3万立方メートル分を確保しなければならなくなった。
 しかし、アルプスの近くに既存のタンクはあるものの、新たに設置する空き地はない。このため、既存のタンク1047基のうち、35基を改造して濃度の測定用に転用。ただ、汚染処理水を保管できる量を維持する必要があり、アルプスから離れた所に保管用のタンク23基を増設することにした。2022年11月の使用開始を目指す。
 汚染水は現在、1日に140立方メートルほど発生しており、タンクの汚染処理水も日々増加している。廃炉作業を所管する経済産業省の担当者は「保管用のタンクを測定用に転用しても、汚染水の発生量を低減させるなどの対策をしたら、今後の汚染処理水の保管は問題なく継続できる」と説明している。【岡田英】
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