[2021_05_28_02]〈独自〉福島第1原発 9月調査開始 東電工程案判明 沖合1キロ放出有力(産経新聞2021年5月28日)
 
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〈独自〉福島第1原発 9月調査開始 東電工程案判明 沖合1キロ放出有力

 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出について、東電が検討している沖合約1キロの海中排水の工程案が28日、判明した。海底に配管を通して放出する方法が有力で、9月に海底の調査を開始し、来年2月から配管の敷設工事を予定。完成までに1年半程度かかる見通しで、政府が放出のめどとした2年後に向けて作業を進める。ただ、地元の漁業関係者らの反発も予想され、計画通りに進むかどうかは不透明な面もある。
 関係者によると、東電は福島第1原発の敷地に接する沿岸海域で調査を計画しており、安全に海上作業を進めるため関係機関と協議している。不発弾など危険物の有無の確認を含めた海底の状況を把握するため、磁気探査を9月上旬に実施し、必要に応じて潜水調査も行う。9月中旬から約1カ月かけて、海底3カ所で作業船を使ったボーリング調査を進めるとしている。
 その後、海底配管の敷設工事を来年2月に始め、約1年半後の完成を目指す。政府は4月時点で、放射性物質のトリチウムを含む処理水を基準値以下に薄めた上で2年後をめどに放出するとしている。2年後を目安に工期を逆算すると、海が荒れる冬場を避け、年内での調査完了が必要と判断したもようだ。計画当初に難航していた調査用作業船の確保についても調整の結果、めどが立ったという。
 トリチウムを含む処理水は通常運転の原発でも発生するため、他の原子力施設でも海底に配管を設けて沖合に放出する例がある。一方で、東電は沖合への放出と並行して、原発東側の港湾に排水する案も検討。福島第1原発では、現在でも建屋周辺でくみ上げたトリチウムを含む地下水を基準値以下に希釈して港湾に放出している。
 東電は今後、必要な設備の設計や手順などをまとめた海洋放出の実施計画を原子力規制委員会に申請し、認可を受ける。ただ、海洋放出をめぐって、東電の説明や風評対策が不十分だとして、漁業関係者らから反対する声が上がっており、調査開始までの調整も課題となっている。
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