[2021_06_24_02]「核のごみ」調査反対派が町長選に出馬表明 北海道・寿都町(毎日新聞2021年6月24日)
 
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「核のごみ」調査反対派が町長選に出馬表明 北海道・寿都町

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡る文献調査が進む北海道寿都町で、調査に反対する越前谷由樹町議(69)が23日、10月に予定される任期満了に伴う町長選への立候補を正式表明した。「文献調査を撤回し、町民が主役のまちづくりを進めなければいけない」と語った。調査応募に踏み切った片岡春雄町長(72)も既に6選出馬の意向を示しており、文献調査の賛否を問う一騎打ちの選挙戦となる公算が大きい。【源馬のぞみ、高橋由衣】

 越前谷氏は23日、記者団や支援者らを前に「核のごみの受け入れに反対で、独断的な片岡町政にも疑問を感じた。核のごみに何としても立ち向かい、寿都町と町民を守らなければならないと思い、出馬を決意した」と語った。文献調査の撤回方針を国に伝えて交付金を返還し、住民自治を定めた基本条例を制定するなどの公約も示した。調査に反対する住民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」と連携して活動する。
 越前谷氏は元町職員で、片岡町長のもとで助役も務めた。2008年の町議選に初当選し、現在4期目。町議会(定数9)は文献調査を巡り、片岡町長の応募方針を支持する小西正尚議長ら5人と、越前谷氏ら反対派4人の対立が町民を巻き込む形で続いてきた。
 町民の会は昨年10月、応募の賛否を問う住民投票条例の制定と求める請願などを提出。だが、片岡町長は町議会での審議を待たずに、非公開の全員協議会での協議を経て応募を正式表明した。請願提出を受けて町議会は同11月、条例案について審議したが、賛否は各4人で拮抗(きっこう)し、最終的には小西議長の裁決で否決された。
 一方、町は今年3月に入り、概要調査と精密調査の前に住民投票を行うとする条例案を一転して町議会に提出、賛成多数で可決された。十分な議論のないまま文献調査に応募したとする片岡町長への批判は強く、「町長選に向けて町民の不安を和らげるためではないか」(町議)とみる向きもあった。
 町長選は片岡氏の無投票当選が続いており、選挙戦となるのは01年以来、20年ぶり。文献調査に対する町民の民意が示されることになる。
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