[2021_06_26_07]茨城県知事が国民全体の理解得るよう要請 原発処理水海洋放出方針で(福島民報2021年6月26日)
 
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茨城県知事が国民全体の理解得るよう要請 原発処理水海洋放出方針で

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出方針について、政府は25日、関係閣僚会議ワーキンググループ(作業部会)を茨城県水戸市で開いた。茨城県の大井川和彦知事は政府の説明不足を指摘し「国民全体の十分な理解」を得るよう要請。福島県、宮城県と足並みをそろえた風評抑制策の早期具体化を求めた。
 大井川知事は漁業関係者が海洋放出に反対している現状を踏まえ「関係者の意見を受け止め、国民の理解を得てもらいたい」と情報発信の強化を求めた。風評被害に対する損害賠償は国が前面に立って対応すべきとした。
 東電は相次ぐ不祥事で信頼を失い、当事者能力に疑義があるとして、常井洋治茨城県議会議長は「国が最終責任者として立場を明確化すべき」と指摘。特命の担当大臣を新設するなど国に対し、責任ある対応を求めた。
 漁業関係者は海洋放出への反対姿勢を改めて示した。飛田正美茨城沿海地区漁連会長は政府の方針決定後、後継者問題が深刻化したとの認識を示し「(若手漁業者は)将来を描けず、既に風評被害が出ている」とし、具体的な対策の提示を求めた。高木安四郎茨城県水産加工業協同組合連合会長は「後継者が不安を抱けば地域経済全体の落ち込みにつながりかねない」と懸念し、海洋放出は受け入れられないとした。
 観光業界からも政府の不十分な対応に不満の声が上がった。竹内順一茨城県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長は茨城県東海村で1999(平成11)年に起きた臨界事故、東電福島第一原発事故と相次ぐ原子力災害で利用客の落ち込みなど長期的な影響があったとし「利用客に正確で安心できる説明がしたいが、処理水について説得できる情報がない」と危機感を訴えた。
 座長を務めた江島潔経済産業副大臣兼原子力災害現地対策本部長は「国としてまだまだ取るべき手段があることを痛感している。意見を今後の対策に生かしたい」などと述べた。
 茨城県内の漁業や農業、観光業など各分野から計11機関・団体が出席した。作業部会は福島、宮城両県に続き3回目。政府は各県での意見を踏まえ、中間とりまとめとして具体策を示す方針。
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