[2021_07_03_04]原発事故処理水 福島県内36議会が政府の海水放出方針に懸念(福島民報2021年7月3日)
 
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原発事故処理水 福島県内36議会が政府の海水放出方針に懸念

 東京電力福島第一原発の処理水について政府が海洋放出方針を決定した後、福島県内の全市町村議会の6月定例会は2日までに日程を終え、会津坂下町議会は2日に「海洋放出方針の撤回」を求める意見書を可決した。これで県内59市町村議会のうち22議会が政府方針に対する意見書を可決した。この他、14議会は方針決定前に可決した意見書を堅持するとしており、半数超の計36議会が政府方針に懸念を示した格好だ。
 沿岸部の浜通りだけでなく中通りや会津を含めた22議会が可決した。方針決定後、南相馬市議会は4月臨時会で意見書を可決し、海洋放出方針の撤回を求めた。この他、21議会は6月定例会で意見書を可決した。
 22議会の意見書では、処分方針について十分な議論や国民の理解が得られていないとの指摘や、風評被害対策の早期提示などの要請が多く見られた。本県での処分を前提としないことや、不祥事が相次ぐ東電に対する信頼回復などを求める内容もあった。
 政府は方針決定後、浜通り13市町村と、原発事故の避難区域が設定された田村と川俣を加えた計15市町村の議会を対象に方針の説明を行った。いわき、相馬、田村、南相馬、川俣、浪江、新地の7市町議会は政府から説明を受けたが方針の内容に納得せず、意見書を可決した。
 政府方針の決定後、新たに意見書を審議する予定がないとしているのは26議会。このうち、14議会は方針決定前に可決した意見書で、海洋放出への反対や風評被害対策の見直しを求めている。
 政府は今夏、本県などで政府方針に関する意見を集約し、各省庁が取り組むべき行動計画の中間まとめを行う方針。8議会は次期定例会などで審議予定、2議会は今後審議するか検討するとしており、政府の中間まとめなどを踏まえ対応を判断するとみられる。

※政府の処理水処分に関する基本方針
 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について政府は4月、国内で処分の実績があり、トリチウム濃度の検知が確実だと判断して海洋放出を正式決定した。トリチウム濃度を国の放出基準値の40分の1未満まで水で薄め、2年後をめどに福島第一原発敷地内から放出する。2041〜51年ごろとする廃炉完了目標までに放出を終える方針。風評被害は東電に損害賠償させる。

◇東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する政府方針決定を受け、意見書を可決した市町村議会
 福島、会津若松、いわき、喜多方、相馬、二本松、田村、南相馬、桑折、川俣、大玉、天栄、会津坂下、柳津、昭和、泉崎、石川、浅川、古殿、三春、浪江、新地

◇政府方針決定前に処理水に関する意見書を可決しているため、新たな審議予定はない
 伊達、本宮、国見、鏡石、只見、西会津、猪苗代、会津美里、西郷、矢吹、矢祭、楢葉、葛尾、飯舘

◇6月定例会で意見書を否決
 広野

◇次期定例会などで審議予定
 南会津、湯川、金山、棚倉、塙、鮫川、平田、富岡

◇今後審議するか検討中
 白河、川内

◇審議予定なし
 郡山、須賀川、下郷、檜枝岐、北塩原、磐梯、三島、中島、玉川、小野、大熊、双葉
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