[2021_07_10_02]海洋放出方針に懸念の声 東京で第一原発処理水の関係閣僚会議作業部会 (福島民報2021年7月10日)
 
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海洋放出方針に懸念の声 東京で第一原発処理水の関係閣僚会議作業部会

 福島県にある東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出方針を巡り、政府は9日、東京都で関係閣僚会議ワーキンググループ(作業部会)を開いた。出席した商工、小売、観光などの全国団体からは「風評により幅広い産業が影響を受ける」と政府の方針への懸念の声が上がった。北海道と青森、岩手の両県も国の責任による関係地域への対策の強化などを求めた。
 東京での作業部会は2回に分けて開催した。第5回には商工、小売、観光、消費者関連の全国団体の代表者が出席した。
 日本商工会議所の久貝卓常務理事は「処理水を海に放出すれば風評により漁業含め観光、流通など幅広い業種に大きな影響を及ぼす」と懸念を表明。特に、1次産業、観光業を基幹産業とする地域の経済に甚大な被害が出る可能性を指摘し、政府が前面に立って事業者への支援策や万が一の際の賠償などにするよう求めた。日本旅行業協会の志村格理事長は「風評はインバウンド、輸出にも影響を与える。科学的根拠だけでは納得しない国もある」と国の外交対策強化の必要性を指摘した。
 国の方針決定の過程や姿勢について疑問視する声も上がった。全国消費者団体連絡会の浦郷由季事務局長は「最も懸念される風評被害を回避する対策が検討が十分になされていない」と訴えた。
 第6回では、行政関係者が意見を述べた。このうち、岩手県の戸舘弘幸復興防災部長は東日本大震災からの復興が途上である中、「県内のなりわいの再生に多大な影響を及ぼす処理水の処分については不満、懸念の声が上げられている」と述べ、国の責任による対応を求めた。
 作業部会終了後、記者団の取材に応じた江島潔経済産業副大臣は引き続き団体などからの意見聞き取りの調整を進めるとともに、8月にも必要な施策についての中間とりまとめを行う考えを示した。
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