[2021_07_17_01]寿都町長、核ごみ交付金「財政難の備え」住民説明会で強調 北海道(毎日新聞2021年7月17日)
 
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寿都町長、核ごみ交付金「財政難の備え」住民説明会で強調 北海道

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、第1段階の「文献調査」が進む北海道寿都町で16日、町主催の住民説明会が開かれた。片岡春雄町長が出席し、町の財政状況や文献調査に伴う交付金の使い道などについて説明。10月に予定される町長選も意識し、町民に理解を求める狙いもあるとみられる。【源馬のぞみ】
 片岡町長は説明会で「文献調査に応募したからといって最終処分場ができると決まったわけではない。概要調査や精密調査に進む際は住民投票で意思を確認する」と強調。その後、町職員が財政に関する資料を配り「文献調査に伴う交付金は財政難に対する備えとなる。財源が確保できないと、水道使用料の増額など町民に負担をお願いしないといけなくなる」などと説明した。
 町は今月1〜16日、住民説明会を7カ所で計8回開催し、最終日の16日のみ報道陣に公開した。この日の説明会は町中心部の5地区が対象で、25人が参加した。60代男性は「財政の話をし始めたのは、選挙に向けた準備ではないか」と話した。
 任期満了に伴う町長選を巡っては、文献調査に反対する越前谷由樹町議が出馬を表明。片岡町長も既に6選出馬の意向を表明しており、20年ぶりの選挙戦となる見通し。文献調査応募の是非が最大の争点になる。
 片岡町長は6月25日、町と原子力発電環境整備機構(NUMO)が主催する住民との「対話の場」終了後、「町長選は経済疲弊が争点。核(のごみ)はその後の問題だと住民に訴えていきたい」と記者団に強調。争点はあくまでも経済・財政だと訴える構えだ。
 これに対し、調査に反対する住民団体のメンバーで越前谷町議を支援する吉野寿彦さん(61)は「争点ずらしだ」と批判したうえで、「財政難という住民が困る事柄を持ち出して不安をあおり、交付金で助かる面をアピールしている。交付金を返還しても町財政は立ちゆくという事実を伝えていきたい」と話す。

寿都町の「核のごみ」文献調査を巡る主な動き

20年8月13日 片岡春雄町長が文献調査への応募を検討していることが判明

21年4月14日 町とNUMOが初の「対話の場」を開催
  6月23日 調査に反対する越前谷由樹町議が10月に予定される町長選への出馬表明
  6月25日 第2回「対話の場」を開催
 7月 1日 町が財政などに関する住民説明会開始
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