[2021_07_21_04]柏崎刈羽原発 22年度にも再稼働 東電の新経営計画、実現は困難(毎日新聞2021年7月21日)
 
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柏崎刈羽原発 22年度にも再稼働 東電の新経営計画、実現は困難

 東京電力ホールディングス(HD)は21日、新しい経営再建計画「第4次総合特別事業計画」を発表した。収益改善の柱に据える柏崎刈羽原発(新潟県)について早ければ2022年度に再稼働を目指す方針を盛り込んだ。ただ、相次ぐ不祥事で地元感情が悪化しており、実現は難しいとの見方が大勢だ。経営再建の道のりは険しい。
 新計画では、今後の収支見通しの前提となる柏崎刈羽原発の再稼働時期について7号機は早ければ22年10月、6号機は24年4月とし、1〜5号機のいずれか1基を28年度に再稼働するスケジュールを設定した。
 ただ、再稼働できても安全対策費として30年度までに追加で4100億円を投じる必要があるとして、収支改善効果は1基当たり500億円と試算。従来の約1000億円から半減した。
 11年の福島第1原発事故の関連費用の工面も難題だ。廃炉作業や事故に伴う賠償など約21・5兆円の処理費用のうち、16兆円を東電が負担する。新計画では事故処理費として毎年5000億円を確保し返済に充てる方針を据え置いた。
 しかし、21年3月期連結決算では、経常利益は前期比28%減の1898億円。22年3月期は販売電力の減少や燃料調整費の悪化が響き同61%減の740億円にまで縮小する見通し。数千億円規模の返済を続けていくにはまだまだ力不足だ。
 6月末に就任した東電HDの小林喜光会長は21日、梶山弘志経済産業相と面会後、記者団に「(現在の東電の)経営状況を放っておくと、もうけもしぼんで福島への責任も果たせない」と強い危機感を示した。小早川智明社長も同日の記者会見で「改革を断行していく」と強調。新計画では脱炭素化に向け30年度までに3兆円規模の投資を行う方針を示すなど新たな試みも盛り込んだものの、電力小売り自由化で競争環境は激化しており、難しいかじ取りを迫られそうだ。
 東電は原発事故に伴い実質国有化されて以降、3年ごとに再建計画を作成してきた。新計画は当初、20年春に公表予定だったが、柏崎刈羽原発でIDの不正使用や核物質防護の不備などが相次いで判明し大幅に遅れていた。【高橋祐貴、浅川大樹】

東京電力の経営再建計画

 2011年の福島第1原発事故で経営危機に陥った東電の再建策。被災者賠償や除染など、国の資金支援も受けて実行する事故対応の費用を東電が長期間かけて捻出する目的があり、数年おきに改定している。これまでの「新々総合特別事業計画(第3次計画)」は17年5月に策定され、総額約21・5兆円の事故対応費のうち東電が約16兆円を負担するとの試算を明記。柏崎刈羽原発の再稼働と経費削減で中期的に年4500億円の利益を出す目標を示していた。
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