[2021_08_06_01]原発廃炉で生じる廃棄物、輸出規制見直しへ 「国内で処理困難」(毎日新聞2021年8月6日)
 
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原発廃炉で生じる廃棄物、輸出規制見直しへ 「国内で処理困難」

 原発の廃炉で生じる大型の低レベル放射性廃棄物について、政府は海外に処理を委託できるよう、放射性廃棄物の輸出規制を見直す方針を決めた。国内に専用の処理施設がないためで、輸出を認めていない外為法の運用通達を改正する方向で検討している。
 経済産業省によると、国内ではこれまでに11原発24基の廃炉方針が決定。2020年代半ば以降に原子炉など主要機器の解体が本格化する。しかし、原子炉の熱で発電用の蒸気を作る蒸気発生器など、主要機器の中には大型で国内の施設での処理が困難なものがあり、廃炉を進める上で課題になっていた。
 放射性廃棄物を巡る国際条約では、廃棄物が発生した国で処分するのが原則だ。日本でも外為法に基づく運用通達で、放射性廃棄物の輸出は認めていない。一方、米国やスウェーデンでは、こうした大型機器を海外から受け入れ、除染や解体・溶解を経て再利用する企業も登場している。
 こうした背景から、経産省はエネルギー基本計画改定案で、海外事業者への委託処理を可能とするよう「必要な輸出規制の見直しを進める」と明記。見直しに向け、例外的に輸出を認める基準案を年内にも作成する。
 基準案では、輸出先の国への事前通報や同意を前提とし、対象は蒸気発生器など国内での処理が困難と認められる3機器に限る方針だ。また、輸出先の国で再利用されることが確実であること▽処理で出るごみを事業者が輸入できる体制を整備していること――なども条件とする。基準案は年内にも作成し、パブリックコメント(意見公募)を経て、外為法運用通達改正に反映させる。
 国内に大型機器の処理施設を造ることについては、経産省は「中長期的な検討」としており、国内処理は当面、先送りが続く可能性もある。【岡田英、岡大介】
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