[2021_08_25_05]東電、風評被害に迅速な賠償へ 処理水海洋放出で手続き簡略化(毎日新聞2021年8月25日)
 
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東電、風評被害に迅速な賠償へ 処理水海洋放出で手続き簡略化

 東京電力は25日、福島第1原発の処理水を海洋放出した後に予想される風評被害について、漁業者などに生じた損害に対し賠償する仕組みを発表した。手続きを簡略化し、迅速な賠償を目指すとしている。
 東電によると、賠償の対象地域は全国で、漁業以外に水産加工、観光、農林業などでも被害が生じるとみて対象業種は限定しない。風評被害の申し出があった場合は、農林水産物や商品などの市場価格や観光客数などの統計データに基づき、被害の有無を判断する。全国平均と比較して価格が大きく下落していると認められた場合などには被害があったと認めることで、速やかに被害を認定し賠償する。損害額の算定にあたっては、過去の賠償請求で提出された資料を活用するなどして申請者の負担を減らす。
 統計データで被害が確認できない場合は、個別に事情を聴いて被害の有無を判断する。参考にする統計データは、国や業界団体のものを想定しており、具体的には各業界などの意見を聞き今後決める。また、国外からの請求も受け付けるという。
 福島第1原発事故により損害を受けた住民や事業者への賠償を巡ってはこれまで、国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)の定めた指針に基づき行われてきた。だが、東電と被災者で合意に至らず国の裁判外紛争解決手続き(原発ADR)や訴訟となり、賠償金支払いに時間がかかるケースも多い。この点について東電は「風評被害についてはこれまでの反省を踏まえ、申請者の負担をできるだけ軽減したい」としている。
 風評被害対策では政府も、被害が生じた水産物を国費で買い取るための基金を創設する方針。
【塚本恒】
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