[2021_08_28_01]海洋放出反対改めて主張 処理水評議会で福島県漁連など 政府に風評対策要請(福島民報2021年8月28日)
 
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海洋放出反対改めて主張 処理水評議会で福島県漁連など 政府に風評対策要請

 政府は28日、「廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会」をオンラインで開き、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に伴う当面の対策を福島県内の地元自治体や関係団体の代表らに説明した。出席者からは風評抑止に向け、対策の実効性を高めるよう求める声が相次いだ。福島県漁連は海洋放出反対の立場を改めて主張した。
 JA福島中央会の菅野孝志会長は「政府の拙速な放出方針決定によって処理水への疑念が国内外で拡大している」と切り出し、農業にもさらなる風評が生じるとの危機感を訴えた。風評対策の実効性を高めるため、国内外における処理水の理解度を定期的に検証し、進捗(しんちょく)を把握するべきと伝えた。
 鈴木正晃副知事は「正確で分かりやすい情報を政府一丸となって強く発信してもらいたい」と念を押し、南相馬市の門馬和夫市長は「風評を発生させない万全な対策を進めてほしい」と求めた。
 県漁連の野崎哲会長は「海洋放出には反対」と、以前からの主張を固持した。
 東電の対応への不信感を示す出席者も。いわき市の新妻英正副市長は東電による具体的な放出手法の検討状況の発表に際し、地元関係者への意見聴取が不十分だったとし「非常に憂慮される」「国民の理解を得るのが困難になるのでは」と吐露した。浪江町の吉田数博町長は「東電への信頼は心もとないと言わざるを得ない」と語った。
 風評が発生した場合の賠償基準に関し、東電のこれまでの賠償姿勢には問題があるとし、政府や専門家が関わって基準を決めるべきとの指摘もあった。
 NPO法人ハッピーロードネットの西本由美子理事長は処理水の理解促進に向け、教職員や自治体職員に情報発信に協力してもらう取り組みを提案した。
 政府が教職員や自治体職員ら対象の研修会を開き、研修を受けた人が住民にトリチウムや処理水の性質を伝える方法を例示。「身近で信頼できる人に、なみのある言葉で話してもらえば理解が深まるはず」と期待した。じ
 終了後、江島潔経済産業副大臣は取材に対し、「意見をしっかりと受け止め、対策の充実に取り組む」と語った。
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