[2021_09_01_04]奇妙なサイクル連鎖 日本の虚大事業3つ…・六ケ所村の核燃料再処理工場、・沖縄県の辺野古米軍基地、・JR東海のリニア新幹線 鎌田慧(ルポライター)(東京新聞2021年9月1日)
 
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奇妙なサイクル連鎖 日本の虚大事業3つ…・六ケ所村の核燃料再処理工場、・沖縄県の辺野古米軍基地、・JR東海のリニア新幹線 鎌田慧(ルポライター)

 静岡県熱海市での土石流の発生源は不法な建設残土の堆積物だった。下流の人々の被害と恐怖は他人事(ひとごと)ではない。
 いま建設残土が船で大量に運び込まれているのが、青森県六ケ所村。
 村の巨大な岩壁は幻に終わった「むつ小川原巨大開発」の負の遺産である。
 外洋に面した公共岸壁には汚染土、内側の掘り込み港湾には原発の使用済み核燃料が運ばれている。
 目下、日本の完成見通しの暗い虚大事業は、3兆円の六ケ所村の核燃料再処理工場、2兆6千億円(沖縄県試算)の辺野古米軍基地、そして7兆円のJR東海のリニアモーターカーである。
 このリニアトンネル掘削残土が千葉県市川市から、2千トン級のガット船(砂利、採石運搬船)で、六ケ所村に頻繁に運び込まれている。
 電力を膨大に必要とするリニアの電源のために原発が増設され、開発計画が破綻したこの空白地に、リニア建設と核の廃棄物が回ってくる。核燃料サイクルという名の負の連鎖。
 「巨大開発」「繁栄」「所得向上」を掲げて、青森県が畑作農家や酪農家を買収した揚げ句の果てが、大量の「汚染土」搬入である。
 村には「リサイクル」を掲げて鉛などに汚染された土壌を洗浄する「六ケ所ソイルセンター」が稼働したが開発当時から監視し続けてきた杉山隆一さん(72)は「始末に負えない汚染土壌による公害が心配だ」という。  (8月31日東京新聞朝刊27面「本音のコラム」より)
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