[2021_11_09_07]関西電力 金品受領問題で旧経営幹部ら不起訴 大阪地検特捜部(NHK2021年11月9日)
 
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関西電力 金品受領問題で旧経営幹部ら不起訴 大阪地検特捜部

 関西電力の旧経営幹部らの金品受領問題などをめぐって刑事告発されていた八木前会長や岩根前社長ら9人について大阪地検特捜部は9日いずれも嫌疑不十分で不起訴にしました。
 関西電力の八木誠前会長(72)や岩根茂樹前社長(68)ら旧経営幹部は、原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取った問題で、元助役の関連企業に工事費を水増しして発注し会社に損害を与えたなどとして、市民団体から特別背任や会社法の収賄などの疑いがあるとして刑事告発されていました。
 大阪地検特捜部は業績悪化でカットした役員報酬を補填(ほてん)していた問題なども合わせて捜査した結果、告発されていた9人全員を9日、嫌疑不十分で不起訴にしました。
 特捜部は、不起訴の理由について、「不正な工事の発注は見当たらず、会社に損害はなかった。元助役側から不正な請託があったとも認められず、収賄罪は成立しない」としています。
 また、役員報酬の補填(ほてん)についても「担当の業務に実体がなかったとは認められず、背任に該当するとはいえなかった」などと説明しています。
 金品を贈った高浜町の森山栄治元助役は、おととし(H31)問題が表面化した時点で、すでに亡くなっていて、特捜部は事情を直接聞くことができませんでした。

刑事告発した市民団体「不当な判断」

 刑事告発した市民団体の事務局長を務める宮下正一さんはNHKの取材に対し、「不当な判断で絶対に許されない。直ちに検察審査会に審査の申し立てをしたい」とコメントしています。

検察審査会に審査申し立ての方針

 刑事告発した市民団体は検察審査会に審査を申し立てる方針です。
 市民団体の代理人の河合弘之弁護士はオンラインで会見を行い、「戦後最大の経済犯罪というべき犯罪を不起訴にすることは、検察の権威を著しく失墜させ、役割を放棄するもので捜査が手ぬるかったと思う。検察審査会へ申し立てを行い徹底的に闘いたい」と話していました。

弁護団「極めて適正・妥当な判断」

 刑事告発された関西電力の旧経営幹部らの弁護団は、「長期間にわたり膨大な証拠を精査・検討の上導かれた極めて適正・妥当な判断だ」などとコメントしています。

関西電力「業務改善計画 確実に実行していく」

 刑事告発されていた旧経営幹部らが不起訴になったことについて、関西電力は「金品受け取り問題を踏まえた旧取締役らへの告発について、当社は当事者ではなく、大阪地方検察庁の判断についてお答えする立場ではありません。当社では引き続き業務改善計画の施策を確実に実行していきます」とコメントしています。

関西電力 民事裁判で損害賠償求める

 一連の問題をめぐって、関西電力は、八木前会長や岩根前社長ら6人の旧経営幹部に対して、民事裁判を起こし、19億円余りの損害賠償を求めています。
 このほか、原発に反対する市民グループの個人株主は、会社が提訴しなかった森本孝社長や監査役など17人についても問題を把握していたのに取締役会や監査役会に報告せず会社の信用を低下させる損害を負わせたなどと主張して、69億円余りを会社に支払うよう求める株主代表訴訟を起こしています。
 いずれの訴えに対しても、被告側は全面的に争う姿勢を示しています。
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