[2021_12_28_01]風評対策基金を年度内に整備 福島第1原発処理水、政府が行動計画(河北新報2021年12月28日)
 
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風評対策基金を年度内に整備 福島第1原発処理水、政府が行動計画

 政府は28日、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出に向けた関係閣僚会議を開催し、風評被害対策の中長期的な行動計画を決定した。放出に伴って需要が急速に減少した水産物を一時的に買い取る基金は、本年度中に体制を整えて運用を始める。
 2021年度補正予算に300億円を計上した基金を管理する団体を年明け以降に決め、支援対象の漁業者団体を公募する。冷凍可能な水産物を一時的に買い取り、倉庫に保管する仕組みを想定。冷凍できない水産物は企業の食堂などへの活用を後押しする。
 風評が立った場合の賠償の基準策定に向け、漁業、水産加工・流通業、農業、商工・観光業の4業種や地域ごとの方針を来年中に具体化させる。風評被害の有無や金額を判断するため、過去のどの時期と比較するかや、参照する統計の選択などの調整も進める。
 韓国、台湾、米国など国内外10カ国・地域の消費者2700人を対象に、処理水の知識や日本産食品の安全性を尋ねるインターネット調査を初めて実施する。透明性確保のため、国際原子力機関(IAEA)による安全性評価を受ける。IAEAは22年中に中間報告書を策定する。
 閣僚会議議長の松野博一官房長官は「現場の声に正面から向き合い、一人でも多くの懸念を払拭(ふっしょく)する」と述べ、早急な対策の実行を各大臣に指示した。
 東電の小早川智明社長は会議後、記者団に「風評が生じないよう、細心の注意を払って運用する。要望を聞きながら、政府と協力して(風評)対策を講じたい」と答えた。
 政府は処理水に含まれる放射性物質トリチウムを基準値以下に薄め、23年春ごろの放出開始を目指す。8月には当面の風評被害対策を取りまとめていた。
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