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[2025_08_22_01]除染土 県外最終処分 実現見通せず 再利用に住民反対 公共工事活用案も 除染土の再利用 政府率先安全性アピール Q&A(東奥日報2025年8月22日) | ![]() |
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04:00 東京電力福島第1原発周辺の中間貯蔵施設(福島県大熊町、双葉町)に運び込まれた除染土などは計約1410万立方mに上る。政府は地方にある国の施設で率先して使うことで、各地の公共工事などでの再利用につなげたい考えだ。ただ、関東地方で計画された実証試験は周辺住民の反対で事実上頓挫している。2045年3月までに県外最終処分を実現するための突破口になるのかどうかは見通せない。 「候補地選定を目指して取り組みを進めたい」。中間貯蔵施設を視察した林芳正官房長官は今月10日、県外処分に向けた工程表を今月中に策定すると表明し、政府一丸で取り組む姿勢を強調した。 今回判明した工程表では30年ごろ、除染土の県外処分に向けた候補地選定プロセスを具体化、選定や調査を始めることを目指すとしている。国は実現には処分量の低減が鍵と強調。30年ごろ「(除染土の)再利用のめどを立てる」としているが、公共事業や民問で使う時期や場所には踏み込んでいない。 福島県外での先行事例として政府は今年7月、首相官邸の前庭で除染土の再利用を開始した。中間貯蔵施設からトラックで運び込んだ約2立方mを積み上げ、汚染されていない土をかぶせて草を植えた。放射線量は施工前と同程度といい、政府は「人体への影響を無視できるレベル」と安全性をアピールした。 今後は全国各地の省庁分庁舎などでの再利用を検討することになる。伊藤忠彦復興相は先月22日の記者会見で、中央省庁に対し協力を呼びかけたが、各地にどれくらい広がるのかは見通せない。 これまで計画された国の実証試験は、周辺住民の反対で難航している。環境省は22年、環境調査研修所(埼玉県所沢市)と新宿御苑(東京都新宿区)、国立環境研究所(茨城県つくば市)の3カ所で実証試験を計画したが、周辺住民の反発が相次いだ。所沢市では、候補地周辺の町会が「人家に近く、安全や安心が担保されない」と反対を決議。市議会も「住民合意のない試験は認めない」との決議を可決した。 これまで福島県の内堀雅雄知事らは繰り返し、県外処分に向けた具体的な方針や工程を早期に示すよう求めてきたが足踏み状態が続く。 一向に議論が進まない現状に、中間貯蔵施設が立地する福島県双葉町の伊沢史朗町長は今年2月、「私見」と断った上で町内での再利用を検討すると表明。法律に明記された県外最終処分の約束が果たされるのかー。残リ20年を切り、中間貯蔵施設を苦渋の思いで受け入れた地元は不安を募らせている。 除染土の再利用 政府率先安全性アピール Q&A 政府は、福島県に残る除染土を9月から東京の中央省庁で再利用を始め、地方の出先機関でも利用を検討します。 Q 除染土とは。 A 東京電力福島第1原発事故後、住民の被ばくを抑えるため、放射性物質で汚染された宅地や農地の表面を剥ぎ取った際に出た土のことです。福島県内の除染土は第1原発周辺の中間貯蔵施設で一時保管されており、貯蔵量は約1410万立方mに達しています。 Q なぜ再利用? A 除染土は2045年3月までに県外で最終処分すると法律で決まっています。政府は処分する量を減らすため、放射性物質の濃度が低い土を道路や線路の盛り土のほか、廃棄物処分場の覆土など全国の公共工事に利用することを想定しています。全体の約4分の3に相当します。 Q 安全性は。 A 環境省は利用する基準を「放射性セシウムの濃度が1kg当たリ8千ベクレル以下」としており、国際原子力機関(IAEA)は安全基準に合致していると評価しています。 Q なぜ中央省庁で? A 政府が率先して安全性をアピールし、各地に広げる狙いがあります。ただ、東京都や埼玉県などで過去に計画された実証事業は住民らの反対で実現していません。 Q 難しそうだね。 A 首相官邸の前庭で今年7月から利用されていますが、国民の理解は進んでいないのが現状です。利用を広げると、持ち出しを防ぐ対策も必要になります。最終処分先の確保など、課題は多いままです。 |
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KEY_WORD:除染土_最終処分_:FUKU1_: | ![]() |
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