[2025_08_24_02]【原発処理水、海洋放出から2年】魚の価格に大きな変化なし 一方、放出中止求めるデモも 福島(テレビユー福島2025年8月24日)
 
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【原発処理水、海洋放出から2年】魚の価格に大きな変化なし 一方、放出中止求めるデモも 福島

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 福島第一原発の処理水の海洋放出が始まって、24日で2年となります。30年以上続くとされるこの放出。漁業関係者は、この2年をどう捉えているのでしょうか。福島県いわき市で聞きました。

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 水津邦治アナウンサー「いわき市の沼の内漁港では、きょうもいつもと同じように活気のある競りが始まっています」
 いわき市の沼之内漁港では、22日朝、港に水揚げされたヒラメやホッキといった「常磐もの」の競りが行われていました。
 民宿・海の家鈴亀 鈴木幸長さん「これから9月から底引き船が始まるので毎日仕入れに来ています。新鮮で鮮度がいいので、お客さんには喜ばれます」

 ■魚の価格に大きな変化なし

 いわき市漁協によりますと、処理水の放出前に、1キロあたりおよそ1500円だった魚の取引価格は、直近でもおよそ1400円で推移していて、大きな変化はないとしています。仲買いを始めて半世紀という猪腰洋治さんに、処理水の影響について聞きました。
 仲買人 丸十猪腰商店・猪腰洋治さん「当初は心配された形だったが、あれから2年経ったということで、会話の中、言葉の中にも処理水うんぬんという言葉が出てこなくなってきている。それだけきちっとした形で、国でも管理をしながら放水していると思うので今後も大丈夫だとは思います」
 今年6月、中国は、処理水放出を受けて停止していた日本産水産物の輸入を一部再開すると発表。しかし、福島など10都県については輸入禁止が継続されています。
 猪腰さん「今後は徐々に門戸は開いてはいくと思うが、それを待つしかないでしょうね。あとは政治としても安心安全だというのは常に発信していかなくてはならないことだと思う」
 県内の漁業は現在、本格操業に向けた移行期間で、県漁連では原発の半径10キロ圏内の操業自粛を続けています。沿岸漁業の水揚げ量は震災前の4分の1にとどまっています。地元の魚を扱う1人として、猪腰さんは、こう呼びかけました。
 猪腰さん「常磐ものの魚は十分に安心なので(漁業関係者は)健康にけがをしないように頑張っていただきたいと思います」

 ■「約束破られた」放出中止求めるデモも

 こうした中、福島市では22日、市民団体が処理水放出の中止を求めて、デモを行いました。参加者は、国と東電が漁業者と交わした「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」とする約束が破られたまま放出が強行されていると訴えました。
 ふくしま復興共同センター・野木茂雄代表委員「この問題を国・東京電力任せにするのではなく、私たち自身もしっかりと考えながら改善・前進できるように進めていきたい」
 このデモは、放出開始から2年となる24日まで福島県内各地で行われるということです。

 ■放出から2年 処理水は4%減少

 福島第一原発の処理水は、2023年8月に、1回目の海洋放出が始まって以降、これまでに13回の放出が完了し、現在、14回目の放出が行われていて、25日に終わる予定です。
 東京電力によりますと、これまでに海に放出された処理水は10万1870トン、トリチウムの総量は、およそ22.1兆ベクレルになるということです。
 処理水は、原発の敷地内のタンクに保管されていますが、この容量が限界にあるとして、放出が始まりました。東電は、放出前に比べ、4%減ったと説明しています。今年2月からは、空になったタンクの解体も始まりました。
 これまでのところ、周辺の海水に異常は確認されていません。7月30日には津波警報が出ましたが、このとき、処理水の放出を中断しました。東電は「問題なく対応できた。今後もあらゆる自然災害に対応していく」としています。
 一方で、いまも放出に反対する意見は残っていて、特に、決定までのプロセスに問題があったと考える人も少なくありません。放出の差し止めを求める裁判も続いています。
 テレビユー福島
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