[2024_02_19_02]再処理工場の行方焦点 原発貯蔵プール満杯迫る 使用済み核燃料 福井県外搬出(東奥日報2024年2月19日)
 
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再処理工場の行方焦点 原発貯蔵プール満杯迫る 使用済み核燃料 福井県外搬出

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 本県と同じく原子力関連施設が多数立地する福井県。国の核燃料サイクル政策上、両県事業の結び付きは強く、重要性を増している。福井県内の原子力事情を福井新聞社に伝えてもらう。

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 福井県内にある関西電力の原発にたまる使用済み核燃料の問題を巡り、福井県が昨年10月に容認した関電の県外搬出のロードマップ(工程表)では、当面の搬出先と位置付ける六ヶ所村の再処理工場が目標通り2024年上期に完成するかが焦点だ。関電の稼働原発が全7基体制となり、各原発の使用済み核燃料貯蔵プールは計算では約4、5年で満杯になる。再処理工場の行方次第で搬出が滞り、原発を停止せざるを得なくなる可能性もある。
 昨年12月上旬、福井県議会最大会派「自民党福井県議会」の重鎮議員ら7人が六ヶ所再処理工場を視察した。24年上期の完成が確実かどうかを現地で確認するためだった。視察した県議の一人は、日本原燃や派遣されている関電社員らと懇談したとし「原子力規制委員会の審査への対応や現場の熱意を聞いた。24年上期の完成は現実味があると感じた」と話す。

 使用済み核燃料について関電は元々、福井県に対し、23年内を期限に中間貯蔵施設の県外計画地点を提示すると約束していた。だが結局、計画地点は示せず工程表の提示にとどまった。工程表は、26年度から再処理工場への搬出を開始するとともに、27〜29年度に高浜原発で保管する約200トンを実証研究の一環でフランスに搬出する内容。中間貯蔵施設の操業開始目標は、「30年ごろ」を堅持した。
 県と県議会は国や関電に対し、再処理工場の目標通りの完成と確実な操業を求めており、工程表の要と考えているのは確かだ。杉本達治知事は工程表を容認した後の定例会見で「使用済み核燃料が再処理される状況を早く確保できれば、中間貯蔵施設への負荷は減っていく」と述べ、再処理工場の重要性を改めて強調した。

 ただ、六ヶ所再処理工場はこれまで26回の完成延期を繰り返しており、福井県内の原子力関係者からも「再び遅れる可能性がある」との見方が出ている。中間貯蔵施設の県外計画地点も、昨年8月に浮上した山口県上関町での関電と中国電力の共同開発計画を含め、なお見通せない状況だ。
 関電が工程表と併せて示した、原発敷地内に使用済み核燃料を一時保管する「乾式貯蔵施設」の設置計画も波紋を広げている。今月8日には、県内3原発全ての敷地内に設置する方針を決め、原子力安全協定に基づき県や立地町に事前了解願を提出した。
 関電は中間貯蔵施設への搬出を円滑に進める準備施設だと強調。乾式貯蔵施設への移送で空いた貯蔵プールのスペースは原則使わない方針も示したが、「例外」を設けるなど、将来の貯蔵容量増加に含みを持たせている。

 福井県は「原発の恩恵を受けてきた電力消費地が分担と協力すべきもの」として、四半世紀にわたり中間貯蔵施設の県外立地を求めてきた。貯蔵容量が増える可能性のある原発敷地内の乾式貯蔵を認めれば、県の原子力政策の大転換となる。
 杉本知事は事前了解について、県議会などの議論を踏まえて判断するとしており、13日に開会した2月定例県議会での議論が注目される。
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