[2024_02_01_05]再処理「6月完成」撤回 原燃 24年度上期目標は維持 審査終了「見積もれない」規制庁(東奥日報2024年2月1日)
 
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再処理「6月完成」撤回 原燃 24年度上期目標は維持 審査終了「見積もれない」規制庁

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 日本原燃の増田尚宏社長は31日、六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の完成目標に据える「2024年度上期(4〜9月)のできるだけ早期」を巡り、期限の目安としていた「6月」を取り下げると表明した。6月完成が見込めず、軌道修正を図った形。記者会見で「私の見通しが甘かった」と釈明した。24年度上期という最終的な目標は変わっていないと強調した。
 原燃は再処理工場の稼働を目指して規制当局の審査に対応中だが、耐震評価を巡るデータの分析や検討が難航。6月までの工場完成は困難視されている。
 増田社長は26回目の完成延期を表明した22年12月に、新たな目標に位置づけた「できるだけ早期」の解釈を24年4〜6月と明言。これまで折に触れ「6月という目標」に言及した。31日の会見では「努力目標だった」としつつ、「6月と言い続けるのはもうさすがにふさわしくない」とし、6月完成の旗を降ろした。「できるだけ早期」の解釈は、上期の最終日となる9月末から「一日も早く」に修正し、事実上、目標を先送りした。
 完成目標を6月とするが9月とするかで、審査対応の現場で「逡巡や戸惑いがあったと思う」と増田社長。「工夫によって6月には竣工できると思い、皆で知恵を絞ろうよと掲げたが、(期限が迫る今も)それをずっと掲げることは無謀で混乱を避けたかった」と釈明した。  (佐々木大輔)

 審査終了「見積もれない」規制庁

 日本原燃・六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の規制当局による審査で、原子力規制庁は31日の本紙取材に「(審査終了時期を)まだ見積もれない」(幹部)との認識を示した。原燃が2024年度上期(4〜9月)の工場完成を見込む一方、規制庁側は、審査終了までに必要な作業量を推定できる材料を原燃がまだ提示できていないとして、「工程を引ける状態にない」と指摘する。
 再処理工場を巡っては現在、設計・工事計画の認可審査中。原燃は早期に認可を得るため、建屋・機器を、耐震計算する上で前提となる「地盤モデル」を全面的に作り直し、入力地震動の算定を急いでいる。
 原燃の増田尚宏社長は31日の記者会見で「次々回の審査会合で地盤モデルと入力地震動を示す」との方針を掲げた。規制庁幹部は、入力地震動の策定などによって初めて「(認可までの)作業量を見積もることができ、工程をはじけるようになる」と解説。審査の全体像を見通せるのは「春になってからだろう」とみる。認可後も検査などには数カ月程度を要するとされる。
 増田社長が工場完成の目安とした「6月」を取り下げたことに、原子力行政に携わる関係者は「そもそも『6月』は社長が言っていただけで、国や地元など関係者間で合意が得られている目標ではない」と突き放す。国の幹部は「審査対応に当たる原燃側の担当者の間でも『6月』を本気で捉えてはいなかったようだ」と話した。(本紙取材班)
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