[2024_01_30_09]祝島の反原発闘争 鎌田慧(ルポライター)(東京新聞2024年1月30日) |
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04:00 上関原発(山口県)に島ぐるみで反対していた「祝島島民の会」の創設者・山戸貞夫さん(73)と十数年ぶりに電話で話した。 彼は18年前、現地での実力闘争で頸椎(けいつい)を損傷したあと転倒を繰り返し、ついに重度の脊椎損傷で下半身不随。7年前介護老健施設に入居して車椅子生活。 それでも個人通信『祝島情報』を発行して、四国電力と町長など町の幹部とが癒着する「企業城下町」批判などを書いて全国の読者に発送し続け「体が動かなくとも気力で勝負」と意気軒昂(けんこう)だ。 中国電力は昨年8月、 買収した原発用地に、関西電力と共同で「使用済み核燃料」の中間貯蔵施設を建設すると発表。年が明けた24日、いきなりボーリング調査と称して森林伐採を開始した。 上関原発は、1982年に2基建設計画が発表された。が、40年たっても未完成。瀬戸内海に突き出たかぼそい半島の先端にある長島、そのさらに端っこが予定地。 しかし、鼻先にある祝島の島民がこぞって反対。 中国電力は町長を龍絡したり寄付金を配ったりして建設用地を獲得したものの、福島原発大事故発生もあって頓挫している。 中間貯蔵施設の受け入れは原発交付金や固定資産税などが入るまでの「中間収入」を図る算段。 瀬戸内海の真っただ中に、ふたつの核施設を建設するなど尋常の沙汰ではない。未来なき原発の現状だ。 (1月30日「東京新聞」朝刊23面「本音のコラム」) |
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