[2024_01_14_01]テロに備えた島根原発2号機の「特定重大事故等対処施設」審査が難航 長引けば再稼働後の運転に影響も(山陰中央日報2024年1月14日)
 
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テロに備えた島根原発2号機の「特定重大事故等対処施設」審査が難航 長引けば再稼働後の運転に影響も

 11:55
 中国電力が8月の再稼働を目指す島根原発2号機(松江市鹿島町片句)へのテロに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を巡り、原子力規制委員会の審査が難航している。事務方を務める原子力規制庁は中電が評価対象から外した断層を評価するよう指示したほか、新たなシーム(粘土質の軟弱層)が見つかった。特重施設は設置期限があり、審査が長引けば再稼働後の運転に影響する可能性がある。
 特重施設は、意図的な航空機衝突やテロ攻撃で炉心が損傷した場合に、放射性物質放出を抑制するための施設。設置期限は原発本体の工事計画認可から5年以内で、2号機は2028年8月までに設置する必要がある。審査は防護対策の観点から非公開で、設置場所も明らかにされていない。
 中電が評価対象から外した断層は、23年8月に規制委の石渡明委員も参加した現地調査で、規制庁が確認し、対象にしない根拠の説明を求めた。中電は同10月の審査で説明したものの、規制庁は審査済みの断層と異なる性状があるとして対象にして評価方針を検討するよう指示し、同12月に再度、現地確認した。
 新しいシームは三つあり、特重施設の設置に向け、中電が周辺のボーリング調査を実施する中で発見。同10月の審査会合で活動性を評価しない考えを示したが、規制庁はさらなる説明を求めている。
 規制庁の担当者は「評価検討してもらう対象が後から出てきた。(中電の)想定通りにはいかなくなっている」と話した。中電島根原子力本部の広報部担当者は「審査中でコメントできない」とした。
 中電は16年7月に特重施設の審査を申請。敷地造成の工事を続けており、火災対策や設備面などはおおむね審査済みで「敷地の地質・地質構造」「地盤・斜面の安定性」が残っている。中電は審査終了の目標を示していない。
 規制委は、原発本体の工事認可から5年以内に完成していなければ運転停止命令を出す方針を決めている。再稼働した12基のうち、関西電力大飯原発4号機(福井県)を除く11基が期限に間に合わず、停止や稼働時期の遅れなどにつながった。
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