[2022_06_20_04]「電力需給逼迫」は政府と東京電力が原発の再稼働を進めるために作り出しているもの 東電(JERA)は石油火力発電の15基1,000万kwを休止 いまだに1基も動いていない 動かせるのに 荒木福則(神奈川県在住)(たんぽぽ2022年6月20日)
 
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「電力需給逼迫」は政府と東京電力が原発の再稼働を進めるために作り出しているもの 東電(JERA)は石油火力発電の15基1,000万kwを休止 いまだに1基も動いていない 動かせるのに 荒木福則(神奈川県在住)

 
◎ 今、「電力が不足するので原発の再稼働が必要だ」という論調が盛んになっている。
 しかし、「電力需給逼迫」は、作られたものだ。
 東京電力は、火力発電部門を担当するJERA(中部電力の同部門も吸収統合)の石油火力発電の全て15基、合計出力1,000万kwを2020年4月までに休止した。
 原発10基分で、いまだに1基も動いていない。
 大手電力会社とも、火力発電を、石油を休廃止しLNGと石炭に絞っている。原発を再稼働しなくても、これらの石油火力発電から再稼働すれば、需給逼迫の心配は全く無い。
 東電の15基の石油火力発電は、高経年の発電所だが、稼働できるよう維持管理は続けられており、立ち上げるのに、基によって1、2ヶ月から半年掛かるが、再開出来ないということはない。
 動かせるけど動かさないのだ。供給予備率の算定では、これらは、全て動かないことになっている。
 去年の冬の電力逼迫予想を前に、政府は申し訳のように、火力発電所の休廃止を事前届け出制にすると広報し、東電は休止していたLNG火力の姉崎発電所5号機60万kwを再開しただけである。
 そして、3月の需給逼迫が起こった。

◎ これらの石油火力発電を休止した理由を「増える太陽光発電に押されて、石油火力発電の収益性が下がったから止めた」と説明している。
 太陽光発電の日照に応じ変動する発電量を、全体需給の一致を取るよう火力発電がバックアップ調整する。太陽光発電が増えてきて、この調整コストが嵩み、石油火力発電の収益性が悪化して止めたという意味だ。電力の安定供給にかまわず、しかも、他電源に比べ格安の太陽光発電を国民が賦課金を負担して導入しようと努力しているのに、安易にやってはいけないことだ。ましてや、次に述べるように、この調整コストは殆ど「ただ」だ。

◎ 需給が一致して火力発電が電気を供給しているとしよう。そこへ、太陽光発電の電気が加われば、需給の一致を崩さないよう火力発電は同量の電気を、燃料フィードを落として減らす。燃料フィードを落とした分、火力発電の稼働率が低下する。即ち、固定費が回収出来ない。 しかし、高経年の15基の石油火力発電所は、減価償却を終わり、殆ど固定費は掛からず、調整コストは殆ど「ただ」だ。

◎ 休止した理由として、高い石油価格による収益悪化やCO2のことを言っているものもある。
 しかし、需給逼迫対応では、その影響は最小限に抑えられる。太陽光発電の突然のバックアップの時や需給逼迫が予想される時に、素早く出力を上げられるよう最低限の石油燃料フィードで待機運転する石油火力発電を複数基、準備しておけば良いからだ。

◎ 上に、理由について述べたが、これがどうであれ、政府は、これらの石油火力発電を動かせるのに動かさないで、予備率から外し、そのことを国民に知らせず、「電力需給逼迫」を煽り、原発を再稼働しようとしている。
KEY_WORD:電力ひっ迫の注意報_: