[2023_05_12_09]核のごみ最終処分場 対馬の建設業団体が文献調査の請願提出へ(NHK2023年5月12日)
 
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核のごみ最終処分場 対馬の建設業団体が文献調査の請願提出へ

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐって、長崎県対馬市にある建設業の団体が総会を開き、第1段階の調査にあたる「文献調査」に市が応募するように働きかけるよう求める請願を市議会に提出する方針を決めました。
 いわゆる「核のごみ」をめぐり、国は、最終処分場の調査対象になる可能性がある地域を示した全国地図「科学的特性マップ」を公表していて、対馬市は処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」に含まれています。
 国は20年程度かけて3段階の調査を行って選定を進める計画で、12日は対馬市で長崎県建設業協会対馬支部と対馬建設業協同組合の総会が開かれ、このうち第1段階にあたる「文献調査」の受け入れをめぐる協議が行われました。
 協議は非公開で行われ、関係者によりますと、いずれの団体でも「文献調査」に市が応募するように働きかけるよう求める請願を市議会に提出する方針を賛成多数で決めたということです。
 今後、団体では来月下旬に開催予定の市議会に請願を提出する方針だということです。
 「文献調査」の受け入れをめぐっては、対馬市では地元の商工会も請願の提出を検討している一方、一部の市民団体が反対の署名活動を始めています。
 「核のごみ」は、地下300メートルより深くに最終処分場を設けて埋める「地層処分」を行うことが法律で決まっていて、処分地選定に向けた調査は20年程度かけて3段階で行われます。
 はじめに、文献を基に火山や断層の活動状況などを調べる「文献調査」に2年程度、次にボーリングなどを行い、地質や地下水の状況を調べる「概要調査」に4年程度かけることが想定され、その後、地下に調査用の施設を作り、岩盤や地下水の特性などが処分場の建設に適しているか調べる「精密調査」を14年程度かけて行います。
 現在、第1段階にあたる「文献調査」が、北海道の寿都町と神恵内村を対象に3年前から行われています。
 調査は、自治体が公募に応じるか国の申し入れを受け入れることで実施されますが、寿都町では町長が判断して公募に応じることを決めた一方、神恵内村では村議会で応募の検討を求める請願が採択されたことを受けて、国から調査の申し入れがあり、村長が受け入れました。
 今後、長崎県対馬市で市議会に請願が提出され審議されることになれば、神恵内村議会の請願採択以来、およそ3年ぶりとなります。
 調査をめぐっては、北海道の鈴木知事が最終処分場を受け入れないとする道の条例などを理由に、第2段階の「概要調査」に進むことに反対していて、調査対象の地元からは「北海道の問題」となってしまわないよう、全国的に関心を広げることを求める声が上がっています。
 また、海外で処分地の選定が進んでいる国では、10近くの複数の地点で調査を行ったうえで候補地を決めています。
 こうしたことを踏まえ、政府は先月、最終処分の実現に向けた基本方針を8年ぶりに改定し、複数の地域での調査の実施を目指すとしています。
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