[2024_01_21_05][誰のための原発か]地域経済編―景況感<上>再稼働すれば、立地地域の経済が活性化し街に活気が出る?(新潟日報2024年1月21日)
 
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[誰のための原発か]地域経済編―景況感<上>再稼働すれば、立地地域の経済が活性化し街に活気が出る?

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 主に首都圏に電気を送り続けてきた新潟県の東京電力柏崎刈羽原発は動きを止めてから12度目の新年を迎えた。地元では、地域活性化のためにと原発の運転再開を望む声が聞かれる。再稼働は地域の光となるのか。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、立地地域の経済的指標や住民の声を基に、原発が地域経済に貢献しているのかを検証する。=敬称略=(12回続きの1、地域経済編「景況感」の<上>)
 空が白み始める前から車列ができた。新潟県の柏崎市と刈羽村にまたがって立地する東京電力柏崎刈羽原発の正門ゲート前。東電の職員や設備の点検、工事などに携わる協力企業の従業員らが、警備担当者のチェックを受けると、吸い込まれるように構内へと車を走らせていった。
 2023年12月27日、東電は、テロ対策上の重大な不備を理由に原子力規制委員会から出されていた事実上の「運転禁止命令」を、解除された。既に安全性の審査を終えた7号機の再稼働に向け、2年8カ月ぶりに手続きを進めていく。

 解除から一夜明けた28日朝も、現地ではそれまでと変わらない光景が展開された。
 5663人。2023年12月1日時点の柏崎刈羽原発で働く従業員数だ。同じ時点の柏崎市の人口7万7591人(11月30日現在)の約7%、刈羽村の人口4291人(11月30日現在)の約1・3倍に相当する。
 内訳は東電職員が1143人、協力企業の従業員が4520人。合わせた全体のうち8割が、柏崎市を中心に新潟県内に居住する。従業員数は入構できる登録者の数で、日によって差はあるが、巨大プラントにはそれに近い規模の人々の出入りがある。
 一方、海辺に立つ柏崎刈羽原発から直線距離で約8キロのJR柏崎駅前。飲食店や商店が並ぶ柏崎市の中心部は、何かと物入りの師走も人通りは少ない。シャッターを下ろしたままの店舗も目立つ。
 「人が減り、店が減る。駅前に市役所が移転しても企業ビルが新築されても、大きくは変わらない」。飲食店経営の70代男性は通りを見詰めた。
 「一日も早く再稼働してほしい。だって、街にたくさん人が来るじゃない」。運転禁止命令が解除された12月27日夕、JR柏崎駅前で居酒屋を営む上野節子(78)は言った。
 東電福島第1原発事故後の2012年に柏崎刈羽原発の全号機が運転を停止する状態
となって以降、店の経営は右肩下がりだ。街から原発作業に携わる客の姿が減ったからだとみている。運転が再開されれば、「張り替えた畳が日の目を見る」と期待する。
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