[2024_01_13_01]「東京電力柏崎刈羽原発運転禁止命令の解除」撤回を求める声明 原発を再稼働させない柏崎刈羽の会(たんぽぽ2024年1月13日)
 
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「東京電力柏崎刈羽原発運転禁止命令の解除」撤回を求める声明 原発を再稼働させない柏崎刈羽の会

 04:00
                       2023年12月27日
               原発を再稼働させない柏崎刈羽の会
     共同代表:高桑千恵 高橋優一 竹内英子 星野幸彦 本間保

 2023年12月27日、原子力規制委員会は2021年4月に出された柏崎刈羽原発の運転差し止め命令を解除することを決定した。
 今回の決定は柏崎刈羽原発を運転する東京電力の実態を見ない全く不当な決定で、柏崎刈羽住民の安心、安全な生活を根本から脅かす決定であり、全く受け入れがたいものである。
 同時に、東京電力が柏崎刈羽原発を運転する適格性があるという判断を維持した事についても同じく受け入れがたいものであり、強く抗議する。

 東京電力はこの2年余で変わったのか?

 私達は東京電力が運転禁止命令を解除できる状態になったとは思えないとして、2023年12月20日に柏崎刈羽原子力規制事務所に申し入れを行った。その中でも述べたが、今回の運転禁止命令が出されたのちも延々と柏崎刈羽原発では不祥事が続き、直近では薬物陽性反応者の入域などという、とんでもない事態まで起こっている。

 私たちは、今後も東京電力の不祥事が続くことを確信をもって予言できる。
 このように東京電力が不祥事を続ける原因は、東京電力の50年以上にもわたる隠蔽体質と、福島第一原発事故さえも根本のところで反省していない根本的な姿勢の問題があると私たちは考えている。
 直近の具体的な例を挙げておきたい。
 新聞報道によれば、福島における「ふるさとを返せ!津島原発訴訟」で裁判長、原告が防護服を着て現場を訪れた際、東京電力弁護団が原告の賠償額や避難先の間取りや家・土地の面積、値段まで事細かに個別にマイクで読み上げるという加害者がやる行為とはとても考えられないような非常識ないやがらせの行動を行った。
 これが福島事故を深く反省したと言っている東京電力が被害者に実際に行っている事であり、そこに東京電力の本質がしっかりと現れている。
 さらに東電弁護団は、事故前からの被ばく地域の人口減少傾向を指摘し、「冬の積雪は深く、夏の酷暑は耐え難かった」とも述べたとも伝えられている。
 柏崎や刈羽も「人口減少は続き、冬の積雪は深く、夏の酷暑は耐え難い。」ので住むに値しないと言いたいのであろうか。

 このような発想の東電幹部が柏崎刈羽原発を管理している限り、東電の不祥事は続き、根本的な隠蔽体質は続き、再び、後戻りできない事故に繋がることは想像に難くない。
 東京電力の姿勢の問題については規制委員会の中でもたびたび問題にされている。
 ALPSの配管洗浄中に作業員2人が高濃度の汚染廃液を浴びて入院した事故に関し、規制委員会の伴委員に「(東電の)言い訳がましいコメントは納得がいかない。事の重大性を理解しているのか」と批判されている。
 12月20日の東京電力に対する聞き取りでは、杉山委員から「決意は世の中への約束か」と問われた小早川社長は、言いよどみ手ぶりが増え言葉はしどろもどろだったという。「決意は世の中への約束」ではないと思っていることが見え見えである。
 そして、東京電力のそのような本質に全く気付いていないのか、気づかないふりをしているのか知る由もないが、結局のところこのような問題を理解し指摘しながら禁止命令を解除した規制委員会の姿勢には大きな不信感を抱かざるを得ない。
 これも12月20日の申し入れでも述べたが、原子力規制委員会は、福島原発事故の教訓を踏まえ、福島原発事故の過ちを繰り返さないためにと設立されたはずだった。
 極めて不十分ながらも、独立性をうたっていた当初から、徐々にその姿勢は薄れ、今や政府の再稼働の一翼を担う組織となり、3.11以前の「規制のとりこ」に全く逆戻りしてしまっている。

 規制委員会のある委員は「安全規制の目的は、究極的には人を守ることです。被ばくに伴う害から人を守ることに他なりません。社会生活を営む「人間」への眼差しが大切であることを、福島の経験は物語っています。」と述べているが、規制委員会は「社会生活を営む「人間」」である私たち柏崎刈羽住民の話を直接聞いた事があるのだろうか?

 3.11の反省は何処に行ってしまったのか。原子力規制委員会の理念はかなぐり捨てられたのか。
 12月20日の申し入れの際、決定の前に住民に説明するように求めた我々に対して、柏崎刈羽原子力規制事務所の渡邉健一所長は、「決定が下されたら住民に説明する」と繰り返し述べたが、決定が下されてからの言い訳的説明など私たちには不要である。住民の声を聴こうともしない規制委員会には原発の安全性を判断する資格も東京電力の適格性を判断する資格もないと私たちは考える。

 今回の決定によって、柏崎刈羽原発の再稼働への道が一歩前に進むことになる。
 そして、私たち立地点住民にとっては、再稼働により原発事故の危険が大きくなることを意味する。
 私たち柏崎刈羽住民だけではない。原発事故の被害は新潟県内だけにとどまらず、日本全体、世界中に重大な災禍をもたらす。
 1週間前、私たちは「原子力規制委員会が、福島事故の反省にもう一度立ち返り、不十分ながら「規制のとりこ」から逃れようとした発足当初の姿勢に戻り…」と申し入れした。
 しかし、そんな事にはお構いなく、再稼働ありきで、住民不在のまま、東電の現状を見ない決定が行われた訳で、原子力規制委員会には全く失望させられてしまった。

 私たち柏崎刈羽住民は、東京電力という会社の現実の実体を直視することなく、運転禁止命令を解除し、また、そのような東京電力に原発運転の適格性があると認めた原子力規制委員会の今回の決定に強く抗議する。
 そして今からでも現状をしっかり把握しなおし、運転禁止命令の解除を決定したこと、東電の運転適格性を認めたことを撤回することを強く求めるものである。
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