[2024_03_02_01]能登半島地震で被害を拡大させた前石川県知事 原発支持で住宅を崩壊させた 小沼紀雄(文筆家)(たんぽぽ2024年3月2日)
 
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能登半島地震で被害を拡大させた前石川県知事 原発支持で住宅を崩壊させた 小沼紀雄(文筆家)

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 原発維持と企業誘致のために「地震のない県」と知事が嘘をつき、県民の命・財産を軽んじて、建築物の地震対策を怠っていたので、多くの犠牲者を生み、地域社会を崩壊させてしまいました。

 生かされなかった調査報告

 石川県は、2012年4月、東日本大震災を受けた「石川県津波浸水想定調査報告書」の試算で、能登半島北方沖で活断層が95kmにわたって動き、マグネチュード8.1の地震が起きる可能性があるとしました。
 しかし、県は2014年9月の政府有識者会議「日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書」を基にして、地震規模は「北方沖M7.0」、被害は「局地的な災害で、災害度は低い」とする地域防災計画を作成したのです。

 防災よリも企業誘致

 2006年に、金沢地方裁判所(井戸謙一裁判長)が、志賀原発2号機の耐震性を問題として、運転差し止め判決を下しました。そのとき石川県は、志賀原発の耐震性は、「十分備わっている」との立場でした。
 当時の谷本正憲県知事は、地震に備えた地域防災対策とは逆の「地震のない石川県・能登半島地域」を前面に出して、企業誘致に力を注いでいました。
 志賀原発の運転差し止め判決を機に、原発推進、企業誘致の政策を見直し、県民の安全、防災に力を注ぐべきだったのです。
 その後も古い家の耐震対策に力を注ぐように政策を転換しなかったのが、57000戸を超える家が倒壊した原因です。

 根拠となった予測地図

 谷本知事が「地震のない石川県」の根拠としたのが、政府地震調査委員会の「全国地震動予測地図」(2005年版)でした。
 地震予測地図によると、高い確率は太平洋側に集中しており、石川県は、今後30年間で、震度6弱以上の揺れの起きる確率は0.0%から3%未満と極めて低かったのです。
 地震のメカニズムは、「太平洋側地震」と「日本海側地震」では異なっています。
 それを無視して、今後30年間の地震予測をしたのが、そもそもの間違いです。(中略)

 実証された地震に弱い原発

 北陸電力は地震直後に、「志賀原発は異常なし」と発表しましたが、その後、外部電源の喪失、変圧器の破損、大量の油漏れ、放射線汚染物質の敷地外流出などが、次々と明らかになってきます。
 原子炉本体を含め原発施設に、損傷があったのは明らかで、稼働停止中でなければ、大災害となっていました。
 能登半島地震は、原発がいかに地震に弱いかを実証したのです。

 稼働停止・廃炉しかない

 能登半島地震を契機に、今後は原発が集中する北陸・日本海側での活断層型地震の多発が予測されます。
 「地震の起きない土地に建設しているので、原発の耐震性に問題はない」と強弁する電力会社と原子力規制委員会の論理は、もはや通用しません。
 地震大国・日本の、最大の防災対策は、一刻も早く原発を廃炉にすることです。

    (「食品と暮らしの安全基金」発行:「食品と暮らしの安全」
     2024年3月号No.419 より了承を得て抜粋して転載)
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