[2020_02_12_01]「まず町民の意見を」批判も 玄海町長の給与全額カット案可決(西日本新聞2020年2月12日)
 
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「まず町民の意見を」批判も 玄海町長の給与全額カット案可決

 「3カ月のカットでは足りない」「勇気ある決断をしてほしい」―。佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長(63)の給与を3月から3カ月間、全額カットする特例条例案を審議した10日の町議会臨時会では、議員から厳しい意見が相次いだ。町長は「今回のことを教訓に、より良い町をつくる」として続投と自らの処分に理解を求めたが、条例案は可否同数となり議長裁決でかろうじて可決。傍聴者からも「まず住民にきちんと説明するべきだ」と批判の声が出た。
 「社会的に大きな影響を与えた。町政運営に混乱をきたし、町民に迷惑をかけた責任を重く受け止める」。脇山町長は条例案の提案理由説明で、福井県敦賀市の建設会社から現金100万円を受け取り、1年5カ月間も返金しなかったことを改めて謝罪した。
 続く質疑では町議9人のうち4人が批判的な意見を述べた。ある町議は町民への直接の説明がないことを問題視して「まず町民の意見を聞くべきだ」と指摘。脇山町長は「記者会見などである程度は説明している。現在、区長会で説明するやり方も検討している」と答弁した。辞職を求めた議員には「勝手に置いて帰られたので、もらった意識はない」と強調。「続投させてもらい、信頼回復に努めたい」と追及をかわした。
 一方で「なかなか厳しい処分で評価する」と擁護する意見もあり、条例案は最終的に可決された。
 この日の臨時会はケーブルテレビの中継はなく、マスコミ関係者以外の傍聴者はまばらだった。傍聴した「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(佐賀市)の石丸初美代表(68)は「実況中継もなく、町民に知らされなさすぎ。まず住民に説明してから自らの進退や処分案を決めるべきであり、順番が違う」と批判した。(津留恒星、野村創)
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