[2017_08_17_01]建屋造らず保管検討 浜岡原発の乾式貯蔵、規制委方針受け(静岡新聞2017年8月17日)
 
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建屋造らず保管検討 浜岡原発の乾式貯蔵、規制委方針受け

 中部電力は浜岡原発(御前崎市佐倉)で計画している使用済み核燃料を一時保管する乾式貯蔵について、貯蔵のための建屋を造らず、使用済み核燃料を入れた金属製の専用容器(キャスク)のみでの保管に向け検討に入った。16日までに関係者が明らかにした。原子力規制委員会の検討チームが6月、キャスクでの貯蔵に関し「建屋の設置は前提としない」との考え方を示したことを受けた。
 中電は従来通り、建屋を造ることも含め慎重に検討しているが、建屋を造らなければ約300億円と見積もる建設費の圧縮や工期の短縮、使用済み核燃料の貯蔵容量を増やせるなどの効果が見込まれる。乾式貯蔵施設は、水や電気を使わず使用済み核燃料を空気の自然循環で冷やす施設。5年ほど原子炉建屋の燃料プールで冷やした後、取り出して同施設に移す。
 同施設に関する現行の基準は、キャスクに除熱や密封、放射線の遮蔽(しゃへい)など安全を確保する基本的な機能を要求し、耐震性も最も厳しいSクラスを求めている。一方、建屋は一般産業施設と同等のCクラスと規定している。
 規制委の検討チームは6月、キャスクで使用済み核燃料を安全に保管するという考えは変えず、建屋について巨大地震などで大規模損傷する事態なども考慮し、設置は前提としないとした。キャスクの材料は、放射線照射の影響や腐食など経年変化に耐えられるものとするよう定めた。規制委は今後、この考え方に基づき具体的な規則や適合性審査のガイドを策定する。
 中電は、乾式貯蔵施設の建屋について想定される最大の揺れを基に設計し現在、規制委の適合性審査を受けている。担当者は「建屋を建てない場合も検討しているが、規制委の規則や審査ガイドを踏まえて見直すことになり、具体的には現時点では答えられない」としている。
 <メモ>乾式貯蔵施設 使用済み核燃料を専用の容器(金属キャスク)に入れ、青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場に運び出すまで一時的に保管する施設。水や電気が必要な燃料プールと異なり空気の対流で冷却するため、安全性が比較的高いとされる。浜岡原発では円筒形のキャスク(外径約2・5メートル、高さ約5・4メートル)32基に使用済み核燃料約2200体を入れて建屋内で保管することが計画されている。

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