[2019_08_08_02]東電東通原発建設、共同事業へ 実現に向け課題も(毎日新聞2019年8月8日)
 
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東電東通原発建設、共同事業へ 実現に向け課題も

 東京電力ホールディングス(HD)は、建設を中断している東通原発(青森県東通村)について、中部電力と日立製作所、東芝と新会社の設立を視野に共同事業化に向けた調整を進めている。東電は来年度までに協力の枠組みを固め、建設再開を目指す方針だが、事故時の責任分担などを巡り温度差もあり、各社は慎重に調整を進める方針だ。
 4社はいずれも福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の建設や運営を手掛けてきた。この4社が東通原発で共同事業を模索するのは、それぞれの事情がある。
 東電は福島第1原発の巨額の廃炉・賠償費用を抱え、原発の再稼働による経営改善が急務だ。しかし、福島事故後に原発の再稼働や建設にかかる安全対策コストが急増しており、単独での原発事業が困難になっている。
 このため、2017年5月に同社が策定した経営再建計画では「原子力発電分野における共同事業体の設立を通じた(業界の)再編・統合」を目指す方針を明記。各電力会社などに共同事業への参画を呼び掛けてきた。事故を起こした東電が原発を建設・再稼働することへの反発は強く、共同事業化で東電色を薄める狙いもあるとみられる。
 中部電力も浜岡原発の再稼働が見込めない中で、原発の運営や保守などのノウハウをいかに維持するかが大きな課題だ。原子炉メーカーも同様の悩みを抱えている。日立は英国での原発新設計画が安全対策費の高騰などで頓挫。東芝も海外の原発事業から撤退しており、ノウハウ維持のため事業参画を模索する。
 ただ、原発の納入を手掛けてきたメーカー側には、共同事業化に伴い「事故が起きた際の損害賠償責任を負わされるリスクは避けたい」(東芝関係者)との思惑がある。また、原発事業の共同化が進めば、電力会社側は保守や安全管理にかかるコストを抑えられる一方で、現在これらを手掛けているメーカー側は収益が減少することになる。
 4社はこれらの利害を慎重に調整しながら、新会社の設立と建設再開を目指す方針だ。
【中津川甫、道永竜命、三上剛輝】

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