[2023_02_02_02]原発新設は不可欠 2050年までに10基弱_山口彰・原子力安全研究協会理事(毎日新聞2023年2月2日)
 
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原発新設は不可欠 2050年までに10基弱_山口彰・原子力安全研究協会理事

 政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で決定された次世代原発の開発と建て替えの推進などを盛り込んだ行動指針案の策定に、経済産業省の有識者会合「原子力小委員会」の委員長として関わった。
 第6次エネルギー基本計画(2021年閣議決定)では30年の電源構成における原発比率を20〜22%としている。運転期間の延長がどれぐらいできるかなど、さまざまな前提条件があるが、30年時点では25基ぐらいは稼働していなければならない。
 つまり再稼働を進め、「原子力の持続的な活用」の姿が見えてくるのが30年だ。
 そのうえでカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出量ゼロ)の目標である50年を見据えると、運転期間を60年超としても既設原発の再稼働だけでは30年の原発比率(20〜22%)は維持できない。新設が不可欠になる。

 2050年までに10基弱を新設

 「カーボンニュートラルと経済安全保障の両立」という政策目標から考えれば、電源構成における原発比率を50年には30%まで引き上げる必要がある。
 東京電力福島第1原発事故の直前の時点での電源構成は、原子力、石炭・石油火力、天然ガスがそれぞれ3割前後、水力、再生エネが1割前後で、エネルギーのバランスとして安定していた。
 「特定のエネルギーに依存しない」「信頼性」「現実的な見通し」などの条件から考えると50年時点のイメージとしては30%程度がふさわしい。
 50年時点で30%の原発比率の場合、どれだけの新設が必要になるかは、既設原発の運転期間をどれだけ延長できるかによる。既設原発すべてが60年運転できると仮定すれば数基の新設ですむが、そうはいかないだろう。
 おおまかな想定で幅があるが、30年代なかばから50年までに1年に1基ずつ新設し、10基弱を新設できれば50年の電源構成が安定したものになる。
 まずは30年代半ばに1基新設しその経験を踏まえて徐々に1年に1基というペースに近づいていくことが、政策的にも技術的にも現実的だ。

 新設には相当の努力が必要

 建設凍結中の東京電力東通原発1号機(青森県)、増設計画がある日本原子力発電の敦賀原発3、4号機(福井県)、新規立地の中国電力上関原発(山口県)、建て替えの候補として関西電力美浜1、2号機原発(福井県)、中部電力浜岡1、2号機(静岡県)などがある。1年に1基のペースは決して無理ではない。もっともこれらがすべてうまくいくとは考えがたい。… (後略)
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