[2016_10_26_02]海自艦で海路避難 東通原発事故想定し訓練 下北の住民ら 方法確認(東奥日報2016年10月26日)
 
 県などは25日、東北電力東通原発の重大事故を想定した県原子力防災訓練を県内各地で実施した。下北半島は道路網がぜい弱で事故時に交通渋滞の懸念がある上、輸送バスが足りないなど陸路だけの避難には課題が残る。そのため、今回の訓練は本格的な海路避難を初めて取り入れ、海上自衛隊大湊警備隊(むつ市)の艦船や、民間船舶に住民を乗せて青森港(青森市)に避難させる方法を確認した。
 訓練は落雷による送電線トラブルで同原発の電源が喪失し、下北半島の主要な避難道路である国道279号が通行できなくなったケースを想定。原発から半径30キロ圏にある東通村など5市町村の住民や関係機関の職員ら約1700人が参加した。
 東通村の住民12人は25日朝、むつ市までバスで移動。体に放射性物質が付着していないか検査を受けた後、大平岸壁から海自大湊の支援艦(20人乗り)に乗り込んだ。
 支援艦は陸奥湾内の航路を約4時間かけて約65キロ離れた青森港に到着。同湾に降りた奥島ちえ子さん(66)は「原発立地村に住んでいながら、避難方法などを何も知らないのはよくないと思った」と参加理由を説明。畑中綾子さん(66)は「本番でも今日のように冷静にできるか不安がある」と語った。
 また、むつ市脇野沢からは民間のシイラインで青森港まで移動する訓練も実施。参加した同市の奥野賢一さん(84)は「1時間弱で着いたので、疲れはない」と笑顔を見せた。県によると、海路避難訓練で体調を崩した住民はいなかったという。
 過去の訓練は青森市内の施設を広域避難先としていたが、今回は平内町の体育館を使う初の試みとなった。三村申吾知事は訓練終了後の取材に「船による長時間避難や青森市以外への避難など、やりたかったことができた。各機関の連携もしっかりとできたと思う。今回の課題を抽出し、次回訓練に生かしたい」と語つた。(阿部泰起、白鳥遼)
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