[2018_05_19_01]施設下断層、審査クリア/東通原発(東奥日報2018年5月19日)
 
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施設下断層、審査クリア/東通原発

 原子力規制委員会は18日、東京都内で開いた東北電力東通原発の審査会合で、海水熱交換器建屋など重要施設の下を通る「f−1」断層について「将来、活動する可能性のある断層(活断層)に該当しない」とした東北電の主張を了承した。これにより、重要施設の直下にある断層についての審査をクリアしたことになり、再稼働へ向けて一歩前進した形だ。今後は、敷地内にあるほかの断層についての審議に焦点が移る。
 原発の新規制基準は、「13万〜12万年前以降」に動いた活断層上で重要施設の建設を認めていない。f−1をめぐっては2014年度に規制委の有識者調査団が、活動の可能性を肯定・否定の両論併記とした評価書を取りまとめるなど、判断が難しい断層として長く議論が続いてきた。
 東北電は18日の審査会合で、f−1に近接する「F−8」の鉱物脈を分析した結果、F−8は中新世(約2300万〜約500万年前)以降の活動がないと説明。f−1はF−8より活動時期が古いため、「将来、活動する可能性のある断層に該当しない」と主張した。
 規制委側は「おおむね妥当な検討がなされたと評価」(石渡明委員)し、東北電の主張を了承した。
 東通原発は重要施設の直下でf−1など三つの断層が確認され、「f−2」は活動性がないと既に結論が出ていた。活動時期が明確でない「m−a」は、上を通る海水取水路とは別に新たな取水路を設ける方針を東北電が示したことで、審査はf−1を残すのみとなっていた。
 審査会合後、東北電の藤原正雄土木建築部長は報道陣に「長く時間がかかったが、考えをご理解いただけた。まだまだ審査はこれからなので、早期の再稼働に向けて対応したい」と述べた。次回以降は、敷地内にあるほかの断層が「震源として考慮すべき断層かどうかの観点」(東北電)で審議が続く見通し。
 東通原発は11年2月に定期検査のため停止後、東日本大震災が起きた。東北電は再稼働へ向けた安全対策工事の完了を19年度としていたが、今年4月に完了時期の延期を表明。18日、藤原部長は「最後の詰めをしている」として、延期の詳細には言及しなかった。
【2018年5月18日(金)】

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