[2017_09_16_04]老朽、被災の東海第二原発再稼働許さない 核武装直結施設「常陽」再稼働にも反対しよう!(上)(2回連載) 渡辺寿子 (原発いらない!ちば)(たんぽぽ舎2017年9月16日)
 
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老朽、被災の東海第二原発再稼働許さない 核武装直結施設「常陽」再稼働にも反対しよう!(上)(2回連載) 渡辺寿子 (原発いらない!ちば)


1.原電老朽原発運転延長画策

 日本原子力発電(原電)は首都圏に最も近い原発・東海第二を再稼働させようとしています。
 原電は4基の原発を所有していますが、東海第一(日本で最初に営業運転した)、敦賀一号は廃炉作業中で、敦賀二号も建屋下に活断層が走っている可能性が指摘され、再稼働は見通せません。そこで原電は東海第二原発を再稼働させようとしていて、すでに2014年5月に新規制基準適合性審査を規制委に申請しました。しかし東海第二も来年11月には運転期間40年を迎える老朽原発です。原発の運転期間は原則40年となっているので、たとえ再稼働が認められてもこのままではほんのわずかしか稼働できません。そこで原電は特例である20年延長申請を目論んでいます。延長を別にしても新規制基準を満たすには追加の安全対策工事が必要です。

2.電力供給ゼロでも高収入

 原電は国策の下日本に原発を導入するために既存の電力会社が出資して設立した、原発で作った電気を東電や関電に卸す会社です。
 3.11後、原電は原発の電気は作れず、電気の供給はゼロです。
 しかし電力各社との契約で原電の原発の維持管理などの名目の基本料金は原電に支払われていて、原発が止まった2011年以後も毎年1千億円以上支払われています。
 原電を維持するためのこの費用は各電力の基本料金に含まれ、利用者が負担しています。ちなみに原電の取締役の平均年収は3千万円だそうです。いかに原子力ムラの住民が甘い汁を吸っているか、だから原発推進が止められないのかわかります。

3.東電が原電の経営支援!?

 東海第二原発の再稼働には2千億円以上の莫大な費用が必要になります。
 原電の2017年3月期決算は電力各社からの収入があっても64億円の損失です。原電が莫大な再稼働費用を捻出するのは大変です。
 そこで東電などが金融機関からの借金を保障して、原電の経営支援を行う案が浮上しているといいます。
 東電は、福島第一原発の廃炉や賠償費用を払いきれず、東電の破たんを防ぐために「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が設立されました。この機構経由で厖大な税金や各電力会社の負担金が東電が注ぎ込まれています。
 さらに電気事業法施行令を改悪して、東電が支払うべき原発被害者への賠償を託送料金に乗せて、広く消費者から徴収しようとしています。莫大な税金投入など民間会社として異例な手厚い救済策のお蔭で東電は破綻を免れ、利益まで出しているのです。
 そのような東電が危険な老朽原発東海第二を再稼働しようとしている原電を支援することなど許されません。
 そんな余裕があるなら自主避難者への住宅手当や被害者への賠償、支援に真っ先に充てるべきです。あれだけの重大、悲惨な事故の責任を東電は全く感じていないのでしょう。

4.全国から参加 東海第二原発包囲行動

 東海第二再稼働の審査が大詰めを迎え、また茨城県知事選を翌日に控えた8月26日、なんとしても再稼働阻止を訴えなければと「原発いらない茨城アクション」主催で「東海第二20年運転延長を許すな!人間の鎖」が行われました。
 「原発現地に行く会」ではこの行動の参加者を募集。川内、伊方、大飯、泊などの原発現地からも駆けつけ、94人がバス2台で参加しました。
 東海第二原発包囲人間の鎖行動の前に阿漕ヶ浦で集会が行われ、茨城アクション、現地住民代表、福島から黒田節子さん、前東海村村長村上達也さん、鎌田慧さんなどがスピーチ。参加者1100人は第二原発に向かって再稼働反対のシュプレヒコールを挙げました。
 脱原発ネット茨城の小川仙月さんは東海第二の危険性の大きなものとして可燃性ケーブルが使われていることを挙げています。火災が起きた時、命綱となる二系統の冷却用電源が「同時にダウンする」可能性があるとしています。
 新規制基準では可燃性ケーブルの使用は×とされていますがケーブルの全長は原発一基で1000〜2000kmで、すべて難燃性に交換するのは至難とのこと。仮にできるとしても莫大な費用がかかり、とても実現できるとは思えない。つまりこの一事だけでも東海第二原発に再稼働の資格なしと断じています。
  (下)に続く  (原発いらない!ちば9月号より許可を得て転載)

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