[2017_12_28_01]大洗被ばく最終報告 上級管理者、役割果たさず 原子力機構(茨城新聞2017年12月28日)
 
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大洗被ばく最終報告 上級管理者、役割果たさず 原子力機構

 大洗町の日本原子力研究開発機構(原子力機構)大洗研究開発センターで6月に起きた作業員の内部被ばく事故で、原子力機構は27日、事故原因と再発防止策をまとめた最終報告書を県と原子力規制委員会に提出した。事故の組織的な要因として、「上級管理者が必要な役割を果たしていなかった」などと結論付けた。
 原子力機構は9月に法令に基づく最終報告書を原子力規制委員会に提出したが、組織的な問題の分析が不十分として規制委から再提出を求められていた。
 今回の報告書では、組織要因について、核燃料物質を長期にわたり貯蔵する管理基準がなかったことを指摘。事故後、核燃料物質が皮膚に付着した作業員に、内部被ばくを防ぐ応急処置を指示できず、組織としてチェック機能が働かなかった点など18項目を抽出した。
 上級管理者である同センター所長や担当部長らの処分について、原子力機構は「今後検討し、厳正に対処する」とした。
 再発防止策は、同様の貯蔵容器のふたを開ける際は密閉性のある設備で行うことなどを盛り込んだ管理基準を策定し、事故の教訓を踏まえた職員の教育も徹底すると記載した。
 同日、原子力機構の三浦幸俊理事が県庁を訪れ、報告書を提出した。県生活環境部の近藤慶一部長は「記載された対策はもちろん、安全安心を担保するため全力で取り組んでほしい」と応じた。三浦理事は取材に「現場力を上げていくことに機構全体で取り組む」と述べ、信頼回復に努める姿勢を示した。
 事故は6月6日に発生。作業員が点検のため貯蔵容器を開けたところビニールバッグが破裂しプルトニウムが飛散、5人が内部被ばくした。
 核燃料物質を固める接着剤の樹脂が、21年間保管されている間に放射線で分解され、発生したガスで袋が破裂した。(戸島大樹、黒崎哲夫)

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