[2023_10_06_05]「常陽」運転再開 茨城県原子力安全対策委 審査結果、県などの判断に影響(東京新聞2023年10月6日)
 
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「常陽」運転再開 茨城県原子力安全対策委 審査結果、県などの判断に影響

 08時06分
 茨城県原子力安全対策委員会(委員長・古田一雄東京大大学院教授)が5日、水戸市で開かれ、日本原子力研究開発機構が2026年度半ばの運転再開を目指す高速実験炉「常陽」(大洗町)の安全対策の審査が始まった。審査結果は、県と大洗町が工事の事前了解の是非を判断するうえで影響するとみられる。 (竹島勇)

 工事の事前了解は運転再開の前提となる。県と町の了解を受けて機構は工事に着手し、完了報告書を提出すれば運転再開が可能になる。
 この日の会合で機構側は「常陽の概要」「耐震施設および安全上重要な施設の有無」「新規制基準を踏まえた主な安全対策」を説明。火災による損傷防止では、常陽は冷却剤にナトリウムを使うことから、ナトリウム漏れの防止、漏えいの検知やナトリウムが燃えた場合の感知・消火、燃焼の影響軽減−の3点を考慮した設計にしているとした。
 委員からは内容の確認などの質問があったが、安全対策について不備があるとの指摘や、否定的な意見は出なかった。古田委員長が「今日の分については、おおむね適切な検討がされていると考えてよろしいでしょうか」と各委員に確認し、この日の審査を終了した。結果は数カ月後にも開かれる次回審査で出る可能性がある。
 常陽は7月、原子力規制委員会による新規制基準の審査に適合。これを受けて県と大洗町はそれぞれ機構と結んだ原子力安全協定に基づき、機構が工事の内容を示した新増設等計画書について事前了解の判断のための作業を進める。
 県は、原子力や地震学などの研究者で構成する安全対策委と、周辺自治体首長や各界有識者による「県原子力審議会」双方の判断を受け、立地隣接自治体(水戸、ひたちなか、鉾田各市と茨城町)の意見も聞いた上で事前了解について判断する。
 大洗町にはこの手続き規定はないが、関係者は「町も県の二つの有識者会議の審査結果を重視するだろう」と話している。
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