[2021_03_19_02]原発運転禁止の司法判断、福島事故後に7件 進む再稼働に住民が対抗(東京新聞2021年3月19日)
 
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原発運転禁止の司法判断、福島事故後に7件 進む再稼働に住民が対抗

 世界最悪レベルとなった東京電力福島第一原発事故から10年、電力会社は原発の稼働を進め、政府も発電時に温室効果ガスを排出しない重要な電源として後押しする。福島事故を踏まえた原発の新規制基準ができて以降、原子力規制委員会の審査をパスし、西日本の5原発9基が再稼働した。 (小野沢健太)
 規制委にはこれまで16原発27基の審査申請があり、9原発16基が新基準に適合した。日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)を含む3原発4基は、福島事故後に原則40年とされた運転期間を過ぎた「老朽原発」だが、規制委が最長20年の延長も認めた。このうち、関西電力の美浜3号機と高浜1、2号機(いずれも福井県)は、再稼働に必要な地元同意の手続きまで進んでいる。

◆禁止、確定はせず

 一方で福島事故後、原発の周辺住民らが運転禁止や規制委の適合判断の取り消しを求める訴訟が相次ぎ、少なくとも35件の訴訟や仮処分の申し立てが係争中だ。地震や火山リスクや避難計画の実効性を問題視し、7件は住民側の訴えが認められた。ただ、すぐに効力が発生する運転禁止の仮処分決定は全て覆され、判決も確定した例はない。
 大阪地裁は昨年12月、関西電力大飯3、4号機(福井県)について、規制委の審査に「看過しがたい過誤、欠落がある」とし、新基準適合とした許可を取り消す判決を出した。関電の控訴で効力は発生していないが、確定すれば「不適合」原発は運転できない。
 四国電力伊方3号機(愛媛県)では二度、運転禁止を命じる仮処分決定が出ているが、18日の決定を含めてすべて異議審で覆った。
 住民側は高裁で敗れると、最高裁への不服や異議を申し立てずに終結させている。判断が維持されると、他の訴訟への影響が大きいためだ。
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