[2018_04_25_02]意見交換できないのは「自治体側に理由」 規制委員長が発言、反発呼ぶ(福井新聞2018年4月25日)
 
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意見交換できないのは「自治体側に理由」 規制委員長が発言、反発呼ぶ

 原子力規制委員会の更田豊志委員長が、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について5〜6月に地元自治体と意見交換する意向を示した際の関連発言が福井県内で波紋を広げている。4月18日の定例会見で「これまで開催を問いかけても、自治体側に理由があって実現しない」と主張。これに対し地元側は「地域特有の課題に対応する姿勢が見えない」と反発する。立地自治体と周辺自治体の扱いをどうするかなど、調整項目は多岐にわたり曲折も予想される。
 「意見交換は必要」というのが更田氏の持論だ。規制委発足から5年間を振り返る昨年11月の定例会合の中でも「委員がサイトを訪れる機会を持つことは意味があること」などと、現地主義を一層進める方針を示した。田中俊一前委員長は「意見交換は否定しないが、日々の仕事も忙しい」としていたため、地元は更田氏による“方針転換”におおむね好感を持っていた。
 ところが就任から半年で、全国で実現できたのは2月の九州電力玄海原発(佐賀県)に関する1回のみ。更田氏は18日の会見で「政治的な理由や、それぞれの情勢がある」とした上で、「昨年12月に(関西電力)大飯原発へ行った時は、意見がそろわなくて開催できなかった。玄海では機会を持てたが、その後数カ所でも調整が整わなかった」と明かした。
 さらに「公開の意見交換でなければ、というのが高いハードルだと映るかもしれないが、規制委としては譲ってはならないところ」と述べ、会合の進め方で規制委と自治体側が折り合わないことを示唆した。
 更田氏は5日の参院経済産業委員会でも、県選出の滝波宏文参院議員の質問に「なかなか地元の賛同をいただけないというか、調整がつかない」と語った。調整を担当する原子力規制庁職員は「委員長の発言の通りだ」と、いら立ちを声ににじませる。
 規制委側の「こちらの提案を自治体側が受けてくれない」とする物言いに、福井県側は「規制委員長に物言う機会は、こちらとしてはある意味では『見せ場』。本来なら断る理由なんてない」と反発する。
 県幹部は「大飯の際は視察自体が年末で、3、4号機の再稼働と1、2号機の廃炉の話が重なっていた。日程的にとても受けられなかった」とした上で、「立地自治体と周辺自治体を一緒にし、同じ席で意見交換しろ、という進め方に反発があるのも確かだ」と証言する。別の職員も「原発から30キロ圏の自治体をすべて、指定した日時に同じ会場へ集める方式で提案を受けた。調整そのものが難しいし、個別に意見交換する方法もあるのでは」と語った。立地自治体と周辺自治体は避難計画や地元同意のあり方などで微妙な関係にあり、画一的な意見交換会に抵抗感があるというわけだ。
 県関係者は「個別の事情にもう少し配慮があってもいいのでは」と苦言を呈しつつ、「意見交換できない状態を長く続けるのは福井県の利益にならない。もんじゅでは、なんとか折り合えるよう努力したい」とため息交じりに話した。

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