[2021_04_27_10]中間貯蔵共用案 東電「スタート立つ前」(東奥日報2021年4月27日)
 
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中間貯蔵共用案 東電「スタート立つ前」

 大手電力でつくる電気事業連合会が昨年示した、使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森県むつ市)を電力各社で共同利用する案について、東京電力ホールディングス青森事業本部長の宗一誠常務執行役は26日、むつ市の宮下宗一郎市長と面会し「地元の理解が大前提。共用化ありきではなく、スタートに立つ前である」との認識を初めて示した上で、「仮に理解を得て検討に着手する時には、電事連の一員として地元に対し責任を持って対応したい」と語った。
 同日、宗常務とリサイクル燃料貯蔵(RFS)の坂本隆社長がむつ市役所を訪れた。宗常務の説明に対し、宮下市長は核燃料サイクルや中間貯蔵事業の在り方がまず提示されるべきだとの認識を述べ「事業があって初めて物事が動き始める。地元の理解があればできるという方向性は間違いでは」と疑問を呈した。
 また、2021年度としていた中間貯蔵施設の事業開始時期について、坂本社長は「あくまでも暫定的なもの」と説明し、具体的な時期の明言を避けた。
 宗常務は、福島第1原発事故に伴う状況変化により、年間200〜300トンの使用済み核燃料を搬入するとの当初計画は現時点で実現が困難であることを認めつつ、最終的な貯蔵量である5千トンは「変更する状況にない」と強調した。
 むつ市が新たに使用済み核燃料に課税する市使用済燃料税(核燃新税)について坂本社長は、東電の原発再稼働の見通し、日本原燃六ケ所再処理工場への搬入計画などが定まらない状況だと説明。市と細部を詰めるために必要な搬入計画が東電などから示されていないとして、「東電の計画を待って、具体的な協議を進めたい」と理解を求めた。
 宮下市長は面会後、取材に応じ「今回は事業者側の考えが明確になった。これによって(懸案事項の)前進とは考えていない。市民に理解される説明を要望した」と話した。東電柏崎刈羽原発(新潟県)での不祥事がRFSの事業に与える影響には「一定の影響はあると思う。21年度の操業開始は達成困難なのではないか」と語った。
 26日の面会は、むつ市が両社に中間貯蔵施設共用案や核燃新税の認識への説明を求めていたことを受けて実現した。
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