[2012_12_03_01]六ヶ所再処理工場は廃止 大間原発など新増設禁止 2012年衆院選 未来が公約 卒原発へ工程表 本県2氏、板挟み 戦略を聞く 日本未来の党代表 嘉田由紀子氏 卒原発は戦後政治の決算(東奥日報2012年12月3日)
 
 日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事は2日、都内のホテルで記者会見し、衆院選公約を発表した。10年以内に原発ゼロを実現する「卒原発」を柱とし、日本原燃六ヶ所再処理工場の廃止、電源開発大間原発など新増設の禁止を明記。デフレ下での消費税増税を凍結する「脱増税」も盛り込んだ。全ての原発の廃炉に向けた工程表を含む「卒原発カリキュラム」の骨子も明らかにした。

 電力会社に交付国債を給付し、電力料金の値上げを回避するなどとしているが、実現に向けた具体的な手順などは今後の課題として残された。
 会見後に、代表代行の飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長を山口1区、小沢一郎氏を岩手4区、亀井静香氏を広島6区などとする小選挙区の第1次公認候補109人も発表した。本県では1区の横山北斗、2区中野渡詔子、3区山内卓の3氏が公認された。
 公約の表題は「未来への約束」。中学卒業までの子ども1人当たり年間31万2千円の手当を支給する。税を財源とする「最低保障年金」と「所得比例年金」の構築で年金制度の一元化も図る。いずれも、2009年の民主党マニフェスト(政権公約)とほぼ同じだが、財源は明示されていない。
 環太平洋連携協定(TPP)の交渉入り反対を明記。天下りを全面禁止し、政府関係の法人は廃止する。国の地方支分部局は地方の広域連合に移譲する。
 候補者は、小沢氏が率いた「国民の生活が第一」と、亀井氏が幹事長だった「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」の前議員が大半を占めた。3日に小選挙区の2次公認や比例代表単独の候補を正式に発表する見通しだ。

 本県2氏、板挟み

 日本未来の党が2日に発表した衆院選公約には、電源開発大間原発を含めた原発の新増設禁止や日本原燃六ヶ所再処理工場の廃止という、本県の将来を左右する項目が盛り込まれた。党公認で本県選挙区から立候補する横山北斗、中野渡詔子の両氏は核燃料サイクル継続と大間原発の稼働を容認する姿勢をとっている。サイクル政策を真っ向から否定する党と、原子力関連産業に雇用、経済面などで依存する県内事情の問で、両氏は板挟みになる形だ。
 横山氏は2日の本紙取材に、「卒原発」と廃棄物の処理は別問題−と説明。「安全な方法で使用済み核燃料の直接処分を目指すのが党公約だが、現実的にそのような技術は確立されていない。できないのであれば、サイクル技術でゴミ(使用済み燃料)を処理するべきだ」と、廃棄物処理における再処理技術のメリットを踏まえての持論を語った。大間原発については「限定的な運転にとどめる」と述べたものの、党方針とは一線を画した。
 一方で、党の旗印である10年以内の卒原発は当然とし、「自分の中では矛盾がない」と強調した。
 原子力施設が集中立地する本県2区から立候補する中野渡氏は1日、十和田市で行われた討論会で、サイクルと大間原発については容認する発言をしている。中野渡氏は2日の取材に「公認の連絡はいただいたが、公約の内容に関しては何も聞いていない。きちんと自分で確認した上でコメントしたい」と述べるにとどめた。
   (本紙取材班)

 戦略を聞く 日本未来の党代表 嘉田由紀子氏 卒原発は戦後政治の決算

 −「卒原発」に注目が集まっている。
 「原発からの卒業はまさに、日本の戦後政治の決算だ。安倍晋三自民党総裁は『原発があったから経済発展できた』と言う。では福島原発事故は誰に責任があるのか。どう責任を取るのか。問い直す選挙にしたい」

 −原発を止めた後の使用済み核燃料の処理プロセスが争点の一つだ。
 「原発の電気を使った地域が使用量に応じて引き取るか、原発立地地域にとどめるか、まずは大原則を決める。3年間議論し、乾式貯蔵する中間施設の場所を決める」

 一環太平洋連携協定(TPP)参加に反対する理由は。
 「自由貿易は進めるべきだ。だがTPP導入で農業基盤を壊すべきではない。環境を守り、神と仏のお世話になる。国土を守り子どもを生み育て、高齢者を支える農村の社会的機能を維持する」

 −「脱増税」とは。
 「消費税増税法は凍結する。まずは無駄遣いを徹底的に排除する。そして内需を拡大し、女性の仕事参画を進め、観光を振興する。これで増税を回避する」

 −年間31万2千円とした子ども手当の根拠は。
 「子育て支援はもっとできたらいいが、今の状態を倍増するくらいのイメージで積み上げた。ただ民主党が掲げた子ども手当の金額に、根拠がなかったのは知っている」

 一財源はどうする。
 「不透明で無駄が多い財政制度全体を組み替える。各部局から削減計画を持ってこさせて2〜3割カットの道筋をつける。無駄の洗い出しの中から具体的な数値を出す」

 ー北朝鮮外交をどのように進めるのか。
 「何より対話が大事だが、経済制裁も必要。硬軟セットで対応する」

 −誰を首相指名するのか。
 「他の政党も確定はしていない。組織として責任を持って決める」

 −勝敗ラインは。
 「理想は100%当選。100人超が手を挙げたのは、大変ありがたく責任が重い。全員が当選できるように応援する。滋賀は県政の混乱を避けるため擁立しない」

 一代表自身が国政選挙に出馬する考えは。
 「衆院も参院も具体的には考えていない。滋賀県知事としての仕事をまっとうさせてもらうのが、今の私の立場だ」
    =終わり=
KEY_WORD:OOMA_:ROKKA_:火山_:廃炉_: