[2023_12_07_01]県議会論戦 核燃税引き上げに賛否 「所得向上、子育てに」 「1255億円の根拠ない」(東奥日報2023年12月7日)
 
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県議会論戦 核燃税引き上げに賛否 「所得向上、子育てに」 「1255億円の根拠ない」

 県が原子力事業者に課す核燃料物質等取扱税(核燃税)を引き上げる条例案を巡り、県議会で論戦が交わされている。5年間で約1255億円と、現行から3割近い増額を見込む税収を、宮下宗一郎知事は県政の幅広い施策に充当する意向を表明。6日までの論戦では「県民の所得向上や子育て施策の充実を図って」「約1255億円の根拠がない」と、県議の間で賛否両論が入り交じる。    (佐々木大輔)

 6日の常任委員会で鹿内博議員(無所属)は、県が税額の根拠として事業者に示した「財政需要」とは別に、これまでの核燃税収の実際の支出について内訳を示すよう要請。県側は「必要な取り組みには予算計上している」としつつ、核燃税収は使い道を定めない「法定外普通税」で一般財源に組み込むため、「特定の事業に充当する性格(の税)ではない」として、具体的な支出先は示さなかった。
 鹿内氏は「税金を取るのに(支出の)中身をはっきり言わない。約1255億円には根拠がないということだ」と批判。原資は電気料金だとして「国民の信頼を得られる税に変えるベきだ」と主張した。
 また、5日の質疑では田端深雪議員(共産)が「核燃税に依存した財政運営となることが懸念される」と指摘。一方、谷川政人議員(自民)は税率引き上げの理由をただした上で、「核燃施設の安全確保を第一に、県民の所得向上や子育て施策などの充実を図ってほしい」と増収を歓迎した。原子力施設の立地・周辺自治体にとどまらず、全県に波及する施策にも税収を充てる考えの宮下知事に賛意を示した形だ。
 11月29日からの一般質問でトップバッターを務めた田中順造議員(同)は「地域振興を考える時に核燃税の存在は大変重要だ」と強調した。
 今定例会で県側は、税率を上げる核燃料サイクル2施設(六ヶ所村)からの税収見込み額として、低レベル放射性廃棄物埋設センターは約344億円、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)貯蔵管理センターが約272億円と説明した。
 両施設を運営する日本原燃は「サイクル推進、立地地域の発展に使ってほしい」旨の意見書を11月24日に提出済み。斉藤孝昭議員(オール青森)は質疑で「コスト面で影響が大きいとしながらも了承してもらったので、県は事業者の要望にしっかり対応してほしい」と注文を付けた。
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