[2022_01_01_02]「カーボンマイナス」実現へ全力 池辺和弘・九州電力社長(毎日新聞2022年1月1日)
 
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「カーボンマイナス」実現へ全力 池辺和弘・九州電力社長

 九州電力の池辺和弘社長は毎日新聞のインタビューに応じた。

 ――川内原発1号機(鹿児島県)の40年を超える運転を検討するため、2021年10月に特別点検を始めました。いつまでにどうやって運転延長の可否を判断しますか。
 ◆条件は簡単ではないので答えにくい。点検結果は22年4月以降に出ると聞いているが、原子力規制委員会に運転延長を申請する期限は23年7月なので、判断を急ぐ必要はないと思っている。

 ――玄海原発(佐賀県)のテロ対策施設の完成期限が22年夏に迫っています。
 ◆東日本大震災後の安全対策の厳格化で原発にはテロ対策施設が必須となり、玄海3号機は8月、玄海4号機は9月に完成の期限を迎える。土木工事は7〜8割、電設工事も3割は終了したが、残念なことに21年11月に火災が起こり、それ以降は工事を止めている。安全最優先のため、再発防止策を確立するまで再開できない。地元に了解をいただいたうえで期限に間に合うよう頑張りたい。

 ――二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電所は、別の燃料を使う発電所に置き換えていきますか。
 ◆発電が日中に限られ、天候にも左右される太陽光発電を増やしていくには、調整電源として石炭火力が必要だ。このため、五つある石炭火力の発電設備は、廃止を考えていない。将来的に排出規制の厳格化が予想されるが、CO2は吸収して地下に埋めるといった対策を取り、発電設備を使い続けるつもりだ。

 ――温室効果ガスの削減量を増やして排出量を上回る「カーボンマイナス」を目指す計画を21年11月に公表しました。
 ◆世界的な温室効果ガス削減の流れは、九電にとってサステナビリティー(持続可能性)への姿勢が問われる大きなターニングポイントだ。水力や地熱、洋上風力などの再生可能エネルギーの開発を国内外で加速させ、原子力は安全確保を大前提に最大限活用するなどの具体策を強力かつ着実に実行したい。

 ――かなり野心的な計画であり、実現性を疑問視する声もあります。
 ◆簡単に実現できる目標ではないことは理解している。だが、我々があえて高い目標に取り組むことで、他業界に「経済活動のエネルギー源として電気を選べば、CO2排出量を削減できる」と気付いてもらえると思う。電化を進める顧客への責任を果たすため、全力で取り組みたい。【聞き手・高橋慶浩】
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