[2012_11_03_02]大飯原発断層 規制委の調査団 一変したメンバー構成 安全審査 これまで関与せず あすの評価会合注目(東奥日報2012年11月3日)
 
 原子力規制委員会の現地調査団が2日、7月に再稼働した関西電力大飯原発の敷地内の断層を調査した。調査団の専門家からは活断層の可能性を指摘する声も上がり、4日に開かれる評価会合に注目が集まる。調査団は全員がこれまで原発の安全審査に関与した経験がない専門家で、従来とはメンハ一構成が一変した。他の5原発でも活断層の有無を調査する予定だ。

 団長役の島崎邦彦委員長代理(東京大名誉教授)は、高名な地震学者としては珍しく、原子力ムラと無縁だった。「(審議会委員の)声が掛かったことは何回かあったが、全部途中で立ち消えになった。私から断ったことは一度もないが、そういう目で見られていたのでしょう」と苦笑しながら打ち明ける。

 「安全なら稼働」

 活断層が専門の渡辺満久東洋大教授は、島根原発そばの活断層が過小評価された問題を2006年に指摘して以来、安全審査での活断層評価の不備を訴え続けてきた。
 旧原子力安全・保安院や電力業界からは警戒されてきた存在だが、渡辺氏は「今の日本には原子力は必要なエネルギー。安全性が確認された原発は稼働していい」と話す。
 メンバー5人のうち、渡辺氏ら3人が活断層を専門とする「地形学」の研究者だ。従来の安全審査では地震学著を重用する傾向があったが、今回はがらりと変わった。
 原発を建設する場合、敷地内で試掘溝を掘るほか、ボーリングを実施し、活断層の有無を確かめる。最も有効なのは、面的に断層を確認できる試掘溝。断層の上に乗る地層が変形しているかどうかで活動性を判断するのが調査の「王道」だ。
 いったん許可が出た後は、事業者が作成した調査図面などの「証拠書類」しか残らない。その後になって評価に疑義が示されても、直接証拠の検証は容易ではない。大飯原発の調査図面は「出来が悪い」(活断層研究者)との指摘もあり、事後検証を一層難しくしている。

 廃炉の可能性

 大飯原発に続いて現地調査が予定されているのは東北電力東通(青森県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原子力発電敦賀、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ、関電美浜(いずれも福井県)の5原発だ。
 志賀原発は、1号機原子炉建屋直下の「S-1断層」が活断層である可能性を旧保安院が指摘。敦賀原発も4月の保安院の現地調査で、原子炉直下の断層が活断層である疑いを指摘され、日本原電が再調査中だ。両原発は、活断層が確認されれば廃炉を余儀なくされる可能性が高い。
 もんじゅと美浜原発は、敷地から500メートル〜1キロにある活断層と、敷地内の断層が連動する危険性が浮上している。
 東北電は東通原発の敷地内断層を「地層が水を含んで膨張してできた」と説明しているが、渡辺氏らは「常識的には活断層」と批判しており、付近の活断層と連動してずれる危険性が指摘されている。
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