[2012_12_08_01]「活断層の可能性」 志賀原発 25年前に専門家指摘(東奥日報2012年12月8日)
 
 北陸電力志賀原発1号機(石川県)の直下を走る「S−1断層」に活断層の疑いがある問題で、旧通産省が1987年に現地調査した際、専門家顧問が「(岩盤の上の地層が)堆積後に段差が生じた」と指摘し、活断層である可能性を示していたことが、原子力規制委員会が公開した資料で7日、分かった。
 指摘を踏まえて審査されたとみられるが、結果には反映されず、問題ないとする北陸電の評価が妥当とされた。 S−1断層の問題は、旧原子力安全・保安院の専門家会議が今年7月に「活断層の可能性が高い」と認めるまで約25年間放置された。規制当局の安全審査の不備が問われそうだ。
 活断層と判断されると、廃炉を強いられる可能性がある。
 規制委の活断層定義は「40万年前以降に活動した断層」になる方向だが、87年当時の定義は「5万年前以降」で「段差」があるのは13万〜12万年前ごろの地層だったことなどから、指摘が重視されなかったとみられる。
 しかし2006年に基準の改定で定義が「13万〜12万年前以降」となったのを受けた原発の耐震性確認(バックチェック)でも、国はSー1断層の問題を検討せず、東日本大震災後にようやく対応を始めた。規制委事務局の原子力規制庁は「断層活動を疑う指摘だが、当時の記録が少なく詳細は不明。今後、指摘内容などを精査したい」としている。
 公開資料によると、耐震関係を担当する通産省顧問の専門家13人は87年5〜6月、志賀1号機(当時は能登原発)建設予定地を調査。S−1断層の試掘溝などを確認した際、一部の専門家が「堆積後に段差が生じたが(地表に近い)赤色土壌には変位はないとするのが妥当」と指摘した。資料は発言者を特定していない。
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