[2013_09_13_01]志賀原発1号機 西側の海岸部「断層」 北陸電「浸食作用」を覆す 新潟大グループら調査(東京新聞2013年9月13日)
 
 立石雅昭新潟大名誉教授(地震学)らのグループが、北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)直下の「S1断層」は活断層ではないという主張の根拠の一つを覆す調査結果をまとめた。北陸電は、原発西側の海岸に多くある溝のような地形は「浸食作用によるもの」で断層ではなく、それと似ている「S一1断層」の岩盤のずれも断層ではないと主張しているが、立石氏らは海岸部の地形は断層であるとしている。(中山洋子)

 立石氏らは住民団体とともに今年7月下旬から8月にかけて独自調査。志賀原発の西側、原子炉から約400メートルの海岸にある線状の地形十本を測量した。
 うち二本は長さ100メートル前後で、原発敷地内を通る「S−1断層」と向きが同じだった。原発敷地内の「S−2」「Sー6」断層などと同じ向きの溝も複数あった。いずれも同じ力で生まれた地形と考えられるという。
 その近くでは、断層運動で岩が砕かれた破砕帯も見つかり、立石氏を含めて調査に加わった研究者四人はいずれも「明らかに断層」と判断。活断層かどうかは海岸部では検証できなかったが、立石氏は「地質の専門家なら十人が十人とも断層と判断するような分かりやすい断層。これを『断層ではない』というのは理解に苦しむ」と指摘し、北陸電力の調査内容に疑問を呈している。
 「Sー1断層」は昨年7月、旧原子力安全・保安院の専門家会議に「活断層の可能性が高い」と指摘され、北陸電力が再調査している。最終報告は予定をずれ込み、今月末に原子力規制委員会に堤出されるが、北陸電は今年6月の中間報告で「活断層ではない」と結論づけている。根拠の1つとして、1号機直下の岩盤のずれは「浸食作用による影響が大きい海岸部でも多くみられる」と強調していた。
 海岸部の地形が断層なら、その根拠が崩れるため、立石氏らは外部研究者を交えた徹底調査を求めている。

 活断層と断層

 断層とは地層や岩盤にカが加わって地盤がずれたり割れたりした状態のことで、いつ動いたかは問わない。このうち最近まで断層運動を繰り返し、これからも動く可能性があるものを活断層という。文部科学省の地震調査研究推進本部は「40万年前以降」に動いた活断層を対象に予測。原発の耐震設計で基準とするのは「12万〜13万年前以降」の活断層。2006年以前の基準では「5万年前以降」に動いていなければ原発建設が許可された。
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