[2021_07_07_02]泊(とまり)原発の再稼働 ハードルなお 敷地外の地震、津波… 「想定」審査 厳格な規制委 費用抑制狙う北電(北海道新聞2021年7月7日)
 
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泊(とまり)原発の再稼働 ハードルなお 敷地外の地震、津波… 「想定」審査 厳格な規制委 費用抑制狙う北電

 北海道電力泊原発(後志管内泊村)再稼働に向けた原子力規制委員会の適合性審査は、最大の焦点だった原発敷地内の断層問題が2日に決着したが、最終的な合格に向けては北電が敷地外で起きる地震の大きさや津波の高さを想定し、その数値が了承される必要がある。想定を厳しくすれば、原発の耐震工事などの費用は膨らむ可能性がある。審査は安全性に配慮しつつ費用を抑えたい北電と、厳格な数値を求める規制委のせめぎ合いになりそうだ。
 審査の焦点は、原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」と、想定される津波の最大値「基準津波」の設定だ。北電は現在、基準地震動を最大加速度620ガル、基準津波の高さを12・63メートルと推計。審査でこれらの数値が引き上げられれば、建て替えが決まっている「防潮堤」のさらなる強化が求められる。
 泊の基準地震動を決めるには、積丹半島北西沖に海底活断層があると仮定し、この断層が起こす地震の揺れが原発にどれぐらい影響を及ぼすかを北電が計算しなければならない。活断層や震源を特定せず過去の大きな地震の記録から揺れを想定する「未知の活断層」の影響も考慮する必要がある。規制委は北電が出した数値の妥当性を評価する。

泊原発の再稼働に向けた主な審査項目

 基準津波は、北海道沖から新潟県沖へと南北に延びる「日本海東縁部」に、津波の発生源となる海域があると想定して検討する。日本海東縁部はプレート(岩板)がぶつかり合い、ひずみがたまって大規模地震が多発する「ひずみ集中帯」がある。檜山管内奥尻町などが津波に襲われた北海道南西沖地震(1993年)も、ここで発生した。
 規制委はさらに、将来活動する可能性がある道内の火山について、火山灰や火砕流が原発に及ぼすリスクを審査する。対象は原発から半径160キロ以内にある火山。泊原発の南東約55キロにあり、約11万年前に巨大噴火した洞爺カルデラ(胆振管内)などの影響を議論する予定だ。審査が順調に進めば数年以内に合格に近づくとの観測もあるが、規制委幹部は「北電は審査のスケジュールを守ったためしがないので、先は見通せない」と話す。
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