[2019_10_30_01]福島第一原発のアルプス処理水問題は事実上破綻 「長期陸上保管」しか道はない! 石丸小四郎(双葉地方原発反対同盟)(たんぽぽ舎2019年10月30日)
 
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福島第一原発のアルプス処理水問題は事実上破綻 「長期陸上保管」しか道はない! 石丸小四郎(双葉地方原発反対同盟)

 ここではアルプス処理水の80%は告示濃度(国の環境放出の基準レベル)を満たしておらず、二次処理(再処理しトリチウム告知濃度以下)にしなければ、放出できない現状とトリチウムの危険性を考えてみる。
 第一に、国・県・東電は「二次処理しなければ放出できない」ことを第72回・特定原子力施設監視・検討会(2018.9.7)の中で発言していることである。
 その内容は「2018年度に行った62核種の詳細分析の結果、9核種の他、不明核種であるカーボン14、テクニチウム99が有意に検出された。原因は吸着剤の性能低下にあると判断している。アルプス処理水処分に当たり、環境放出する場合は二次処理を実施することとしている」と発言している。
 更に、東電は「測定人物、人材が枯渇し、JAEAに応援を頼んでも有効な対策が出来なくなっている」と発言している。
 この経過をみるとアルプス処理水対策は事実上破綻していると見て取れる。何故かというと前述したように「測定人物、人材が枯渇、有効対策が出来ない」ことを東電自体が嘆いていることに尽きる。
 この会議には、県の係官も出席しているし、県が発行している「廃炉を知る!廃炉に向けたプロセス」の中でも記述しているからである。
 第二には、政府高官も含め、中身が良く分からないのにも関わらず“場外乱闘”に等しい発言をしていることである。
 「思い切って放出する以外に選択肢はない」と原田前環境相が発言すると、菅官房長官が「個人的発言」とたしなめ、小泉現環境相が陳謝した。
 更に、大阪市長、同府知事が「環境被害ないなら大阪湾に…」と、維新までもが同様の発言をしている。
 何という国なのだろうか!と心底思う。
 最後に、前号で米国の核施設でトリチウムを扱う場合、防護服の着る絵を出している。
 今回は「原子炉廃止措置研究開発センター(ふげん)」の資料によると、防護服を着用しなければならないと記している。
 「0.7Bq/CC以上の場合に防護服を着なければならない」と読みとれる。
 トリチウム水は、吸入すると水と同じ科学的性質を持っているので体内で普通の水と入れ替わる。その際に、遺伝子DNAの水素とトリチウムが入れ替わり、ベーター線を照射して遺伝子を破壊することになるので被害は甚大である。だから防護服を着るのだと…。長期保管以外に道はないことを示している。
(双葉地方原発反対同盟発行「脱原発情報」 2019.10.20 No214より了承を得て転載)
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