[2014_08_20_01]氷の壁十分凍結せず止水材投入へ・福島第1(河北新報2014年8月20日)
 
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氷の壁十分凍結せず止水材投入へ・福島第1


 福島第1原発事故の汚染水問題で、東京電力は19日、2号機建屋海側のトレンチ作業用トンネルから高濃度汚染水を抜き取るための氷の壁止水壁が十分に凍結しないため、追加対策として9月中旬にも止水材を投入する方針を明らかにした。同日あった原子力規制委員会の有識者検討会で報告した。
 東電は止水壁方式自体は維持する考えを示したが、規制委側から同方式への疑問や、止水壁と止水材の併用による悪影響を懸念する意見が続出。規制委は止水材の投入前に是非を再度協議する。
 東電は4月下旬、凍結管を入れて周囲の水を凍らせる方式で止水壁を造り始めたが難航。7月下旬から氷やドライアイスを投入し、接続部の92%を凍らせた。しかし、ケーブルが通る部分などは水流の影響で十分に凍らない状態が変わらず、流動性のある充填じゅうてん剤を止水材として入れる方針を決めた。
 規制委側は充填による発熱で氷が溶ける可能性があるなどと指摘。「汚染水をトレンチから抜かずにそのまま固化する方法を求めざるを得ないかもしれない」と対策の抜本的な転換に言及する意見も出た。東電は「当面は凍結に力を注ぎたい」と理解を求めた。
 2、3号機建屋海側のトレンチには計約1万1000トンの高濃度汚染水が滞留。規制委は津波襲来時などに海洋流出する恐れがあるとし、第1原発で最大のリスクの一つに位置づけている。
[福島第1原発の汚染水問題] 東京電力福島第1原発1〜3号機の原子炉で溶融した核燃料を冷やすために注入した水が、放射性物質を含んで建屋地下にたまり続けている。さらに毎日約400トンの地下水が建屋に流れ込み新たな汚染水となる。東電はたまった汚染水からセシウムなどを除去して一部を冷却に再利用し、残りを地上タンクに保管している。汚染水対策として、建屋に流入する前の地下水をくみ上げて海洋放出する「地下水バイパス」を実施しているほか、流入を防ぐ「凍土遮水壁」の設置工事を6月に始めた。汚染水浄化のための「多核種除去設備ALPS」は本格稼働が遅れている。

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